口に甘いは腹に毒




 玉露くんに何度か電話してみたけど、繋がらなかった。

 ブロックされてしまったんだろう。

 だから家を訪ねた。



『……はい』



 インターホンの呼び出しに出たのは、玉露くんのお母さん。

 休みだったんだ。ちゃんと話すなんていつぶりだろうか。

 対面じゃないから、まだ大丈夫なはず。



「あの、苹果です。玉露くんは……」

『えっ、苹果ちゃん……?』



 予想外って感じの、驚いた声が飛んできた。

 その後沈黙が続くから、来てはいけなかったのかと不安になる。



『……玉露はいないわ』



 そういえば、遊びに誘われてた。

 ということは……女の子もいるんだよね。



「ど、どこに行ったか知りませんか……?」

『さあ……。遊びに行ったとしか……』



 会話を終わらせたがっている気配を察する。

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