ANEMONE〜恋に終わりを告げたなら

甘南が紅茶のカップをテーブルに置いて、ふと窓の外に視線を向けた。
カフェの外では、夕暮れの光が街路樹の葉を透かして金色に染めていた。

その横顔が、さっきまでとは違って少しだけ静かに見えた。


甘南「私、本当は南浜に行きたかったんだけど……お兄ちゃんが許してくれなくて」


ぽつりと溢れた言葉はどこか小さく、諦めたような響きがあった。


ーーそれも当然だろうな。


この辺の4つの高校の中でも、比較的ガラの悪い方に分類される南を妹を溺愛している三咲が許すはずもない。


「まぁ、こなくて正解かもね。甘南みたいなお嬢様タイプは男の餌食になるだけだよ」


南ではあまり見かけないタイプだ。南浜の生徒はギャルが多く気の強い女が揃っている。


甘南は一瞬だけ目を瞬かせ、黙り込んだ。


「・・・なんか変なこと言った?」


急に黙ったから、何か気に障るようなこと言っただろうか。


甘南は慌てたように両手を振った。


甘南「えっあ、いや……そうじゃなくて。その……レイちゃんが甘南って呼んでくれたから」

「……あーごめん。ダメだった?」

甘南「全然!嬉しいよ!これからもそう呼んで!」


甘南の顔がぱっと明るくなる。
その表情は、さっきまでの萎れた雰囲気を吹き飛ばすようにまっすぐで、眩しい。


甘南は再びフォークを手に取り、スフレを一口頬張った。
その頬が少し膨らんでいて、小動物みたいに見える。






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