傾国の貴妃
「ローラ様……?」


何も言わない私に、シンシアが心配そうに私の名前を呼ぶ。


「ご気分がすぐれませんか?」


「…ううん、大丈夫」


「お断り致しましょうか?」


「平気。ごめんね。ちょっと考え事してた。私は大丈夫だから、エリザベート様に是非に、とお返事しといてね」


「畏まりましたわ」


お茶会、というくらいだから、他の姫君たちもたくさん来るのだろう。

想像して、吐く出す息は重くなる。

煌びやかな世界。

それと表裏一体を為す、嫌みと中傷で満ち溢れた世界。

ルシュドにいた頃は知りもしなかった世界は、確かに存在していた。

人を蹴落とし、自分が上へ上へとそれだけを求めてただのし上がる。

いつだって、こういう会に安穏という文字はない。

ルシュド出身である私は何の発言力もないに等しくて、断れば更なる嫌みが飛び交うことはわかりきっていた。

この一年で、何度も思い知らされた事実。
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