傾国の貴妃
私の居場所は、本当にギルの側だけになってしまった。

もともと肩身の狭いシルフィード城だったけど、それ以上にもっと。

シルフィード城に仕える者たちの間にプライバシーという言葉はないらしい。

特に、将来を決めるかもしれない王と姫君の密事は全て筒抜け。

噂はすぐに回る。

尾ひれ付きなんていつものこと。

あっちでこそこそ。

こっちでこそこそ。

視線は矢のように飛んでくるし、すれ違うたびに全身を舐めるように見てくる人だっている。

誰だって新たな火種は好まない。

ただ、平穏無事に。

いつもと変わらぬ日常を。

それだけを祈る。

全てわかっていたことなんだけど…


「陛下!今日こそ私を正室にして下さいませ」
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