おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~

海と人魚

「――わっ、わぁぁ!」

 私は目の前に広がる、キラキラ輝く世界を見ながら声を上げました。

「思ってた以上に綺麗な海です!」

 砂浜へ出ると先程までの土とは打って変わって、足の感覚がふわっと柔らかくなりました。バランスを取らないと転んでしまいそうな砂浜を、ゆっくりゆっくりと海の方へ向かって歩いて行きます。
 カルアくんの言っていた通り、思っていたより近くにありました。
 陸と海の境界線まで辿り着くと、私はしゃがみ込み、海水に手を添えます。

「冷たっ」

 この世界の季節はよくわかりませんが、半袖でも、長袖でも過ごしやすいと言った感じです。となれば、海水が触れた際鳥肌が立ってしまうのも無理もない話。

「入るのは無理……かなぁ」

 そんなことをふと、考えてしまいました。
 ……勿論、今すぐ入りたいとかはないんですけどね。

「え~海入りたいの?」
「……もう、そんな手には乗りませんよカルアさん」

 私は飛んできた言葉に対して、またカルアさんだろう、という先入観で答えてしまいました。
 しかし、違いました。

「カルアじゃないし」

 と、私の隣で水色髪の少年は、不貞腐れながら言います。
 どこから現れたのか、それはひと目でわかりました。海の中からです。

「人魚!?」

 私は驚きで目が飛び出しました。

「……いえ、ここは夢だからなんでもあるんでした」
「何言ってんの?」
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