おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~

束の間街へ

「――たまには街もいいな」
「人混みは嫌だけどね」
「まぁ……、街だから仕方ないっしょ」

 二人はそんな会話を繰り広げます。
 私はというと、今日もパン屋さんでおやつを買ってしまいました。

 パン・オ・ショコラおいしいです――!

 いわゆる食べ歩きをしながらお二人の用事を済ませていきます。

「おじさん久しぶり、ワイン作ってきたよ」
「おぉ、頭巾の兄ちゃんじゃないか。いくらだい」
「いつもの値段でいーよ」

 シェルディさんは自家製ワインを作って売るのが仕事のようです。
 顧客もついてるのですから、先日飲んだワインは相当美味しい部類なのでしょう。

「ありがとよ、またよろしく頼むよ」
「こちらこそまたよろしく!」

 お金が入った袋を手にし、シェルディさんは嬉しそうです。

「シラユキは果物買えたか?」
「うん。買えた」

 リンゴやバナナなど数種類の果物をバスケットに入れ、静かなタイプなのでわかりづらい表情ではあるものの、こちらもご満悦そうです。

「あと一件ご贔屓回れば今回の資金調達終わり! 後はマリアの好きなところ行こうぜ」
「はい!」

 そう言ってシェルディさんは、「あっち」と指差して連れて行ってくれました。
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