おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~
 夜は晩餐会が開かれました。
 親しい友人間でも、改めてご挨拶をしなくてはなりません。
 パーティーはシュネージュにとって退屈なものでした。
 正直、両親の為にいろいろ頑張っているだけの身です。人混みが苦手なのは生まれてこの方変わらずでした。
 会場の隅っこに椅子を置き軽食を取っていると、隣にシェルディがやって来ました。

「先程まで元気そうだったのに、疲れたの……?」

 シュネージュは食べかけのサンドイッチをお皿に置いて聞きました。

「あはは……、そんなところ」

 シェルディは少しだけ空間を開き、同じように椅子を置いて座りました。

「突然兄弟ができてびっくりした」
「………」

 シュネージュにとっても、突然の兄弟は驚くものでした。
 しかしモヴェーヌの発言が一体何を意味しているのか、シュネージュは切り出すにも切り出すことができません。
 疑うことをしたくなかったからです。

「……シェルディは何歳ですか」
「ん? オレは九つになるぞ。シュネージュは?」
「僕はもうすぐ十歳になります」
「そっか。じゃあ兄貴分はシュネージュだな!」

 シェルディは貴族の息子とは思えないほど気さくで、シュネージュにとっては元気すぎるタイプではありましたが、馬が合ったようです。

「兄弟になったんだし、敬語抜いてよ」

 シェルディは言いました。
 シュネージュは少し迷いましたが、それもそうかと思い崩して話し始めます。

 たわいのない話をして、すっかり打ち解けた時――。

「シュネージュは、獣人族のことどう思ってる?」

 シェルディは聞きました。

「僕は種族とか興味ない……って気持ちが大きいかな。どうして戦争になったかは詳しく覚えてないけど……」
「そっか。安心した」

 シェルディはシュネージュの言葉に胸を撫で下ろしました。
 これから一緒に暮らしていく身です。
 二つの仲の悪い国の人達が、一つの屋根の下で生きていくのです。
 彼にとって、とっても大切なことでした。
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