おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~
 突如頭に流れ込んできたお話は、シラユキさんの過去でした。
 記憶の断片達が私の脳内を支配しました。
 幼いシラユキさんであるシュネージュさんが、継母のモヴェーヌに虐げられる姿。
 兄弟であり、友達のシェルディさんと手を取り合う姿。
 ――そして崩れ落ちる姿。
 努力家のシラユキさんが壊れてしまうまでの、悲しい悲しい物語。

「………」

 つぅ――と、水が頬を伝うのがわかりました。
 目から涙が溢れていたのです。
 私はあんまりだと思いました。白雪姫ということもあり、継母の存在は覚悟していました。
 だけど、こんなのあんまりです。
 一度壊された心は、戻すのに時間がかかりますし、戻らないかもしれません。
 それだけ、心とは脆いものなのです。

「……生きるのって、疲れるんだよ」

 シラユキさんは言いました。

「……だけど、死んで欲しくありません……!」

 私はシラユキさんに対して、どうしようもない感情でいっぱいいっぱいになっていました。

 目の前のシラユキさんは、改めてナイフを取り返そうと手を伸ばします。
 私は何とかして避け続けますが……。

 やはり力が強い……っ。

 だけどここで取られてしまったら、本当に自分を刺してしまいそうで恐ろしくなりました。

 そんなことを思っていると、タイミングよくえいっ、と遠くへナイフを投げることができました。奇跡です。グッジョブ私。

 シラユキさんを止めるにはどうしたらよいでしょうか。どうしたら、生きようとしてくれるでしょうか。

 そう思った時には勢いよく抱き締めていました。
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