おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~
 抱き締めて、優しく背中をさすります。

「私は……、シラユキさんには生きて、欲しいです」
「……離して」
「離しません……」

 彼にどう接するのが正しいかはわかりません。
 ですが寂しい時に人肌を感じることは、とても安心感があることです。
 きっと、シラユキさんもそうであると信じて、私は撫でながら声をかけ続けました。

「シラユキさんは……悪い悪い夢を見ていただけなんです」
「………」
「それに、今は一人ぼっちなんかじゃありません。七人ものお友達に囲まれているじゃありませんか」

 シェルディさんにティアさん、イバラさんにカルアさんモランゴさん。セインさんにセニシエさんもみんな共通のお友達だと、そう伺っています。
 
「……私も、その仲間に入れて下さい」

 私はシラユキさんにお願いします。
 少しだけ間を空けると、シラユキさんは、観念したように私の背中に腕を回し、小さく問いました。

「……()めてくれる?」
「止める、ですか……?」
「……僕が、死のうとしたら……止めてくれる?」

 それは、彼の切実な願いでした。

「勿論、絶対に助けます」

 私はシラユキさんの問いに頷きます。
 それを見てシラユキさんは、

「……じゃあ、これからよろしくね」

 と満足そうに微笑みましたが、目の奥は笑っていません。
 ですが、私も受けて立つのが礼儀です。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 私は初対面でもない相手に、丁寧に挨拶をしました。

 これはシラユキさんとの契約のようなもの。
 これから始まる危険な日々の始まりに過ぎませんでした。
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