朱の悪魔×お嬢様
(何、コレ?)
燃えるような、でもどこか冷え切った大きな紅い瞳と瞳と同じ紅い髪。全身に返り血を浴びて真っ赤に染まりきった服と身体。ところどころに小さな切り傷もある。
そこまではまだいい、紅い悪魔は―――どう見ても、中学生か高校生くらいの小柄な少女だったのだ。
そして更に驚く事に、むしろ錯覚ではないのかと信じられない事に、背中に微かに光る朱色の翼を持っていた。
幻や見間違いなどではなく、確かに背中から生えて存在している。
(紅い悪魔…?)
ただの直感だった。でも紅い悪魔だと断言できた。
(これが、紅い悪魔…父様達を殺した殺人鬼)
心の中で憎しみが渦を巻く中、驚愕と恐れの感情により数秒固まっていた。
が、紅い悪魔もまた目を大きく見開き、驚愕の表情で固まっている。
猫の様な紅い瞳が凜を凝視していた。
がたがたと紅い悪魔の顎が震えているのが分かる。ポツリと呟きが聞こえた。
「茉莉亜様…」
(マリア?)
その表情はどんどん蒼白なものに変わっていく。
凜が訝しげに眉を顰めると、紅い悪魔は数歩後ずさった後クルリと方向転換し、走っていってしまった。
「…何で?」
呆然と凜はその場に立ち尽くしていたが、緊張が解けたのかすぐにバタリと倒れる。
遠ざかる意識の中、数々の疑問が浮かんだ。
“マリア”とは誰だ?何故殺さなかった?何故逃げた?何故―――恐れた?
そのまま意識は遠ざかり、凜は気絶した。
次に目を覚ました時、凜は病院の中だった。
燃えるような、でもどこか冷え切った大きな紅い瞳と瞳と同じ紅い髪。全身に返り血を浴びて真っ赤に染まりきった服と身体。ところどころに小さな切り傷もある。
そこまではまだいい、紅い悪魔は―――どう見ても、中学生か高校生くらいの小柄な少女だったのだ。
そして更に驚く事に、むしろ錯覚ではないのかと信じられない事に、背中に微かに光る朱色の翼を持っていた。
幻や見間違いなどではなく、確かに背中から生えて存在している。
(紅い悪魔…?)
ただの直感だった。でも紅い悪魔だと断言できた。
(これが、紅い悪魔…父様達を殺した殺人鬼)
心の中で憎しみが渦を巻く中、驚愕と恐れの感情により数秒固まっていた。
が、紅い悪魔もまた目を大きく見開き、驚愕の表情で固まっている。
猫の様な紅い瞳が凜を凝視していた。
がたがたと紅い悪魔の顎が震えているのが分かる。ポツリと呟きが聞こえた。
「茉莉亜様…」
(マリア?)
その表情はどんどん蒼白なものに変わっていく。
凜が訝しげに眉を顰めると、紅い悪魔は数歩後ずさった後クルリと方向転換し、走っていってしまった。
「…何で?」
呆然と凜はその場に立ち尽くしていたが、緊張が解けたのかすぐにバタリと倒れる。
遠ざかる意識の中、数々の疑問が浮かんだ。
“マリア”とは誰だ?何故殺さなかった?何故逃げた?何故―――恐れた?
そのまま意識は遠ざかり、凜は気絶した。
次に目を覚ました時、凜は病院の中だった。