屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
「看病してもらうつもりはなかったが…。してくれるんだな」


そう言われて、ぽっと頬が熱くなる。


「と、とにかく…!わたしにとっては、1人分作るのも2人分作るのも変わらないので。食べたくなかったら食べなくていいですからっ」


ムキになるわたしを見て、阿久津さんはクスクスと笑う。


熱が高いから食欲はないだろうと思ったけど、阿久津さんはわたしが作ったお粥をペロリと平らげた。


たくさん食べて、薬を飲んで安静にしていたおかげだろうか――。

次の日には、あの高熱が嘘のように下がっていた。


「阿久津さん、…もう大丈夫なんですか?」

「ああ。だれかさんが看病してくれたおかげで」


キッチンに立つわたしの背後から、阿久津さんが耳元で囁いてきた。

吐息が耳にかかり、くすぐったさに思わず体がビクッとする。
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