女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。
「来年の花火も、また一緒に見よう」
最後の花火の音でかき消されないタイミングを上手く狙って、先輩は私の耳元でそうささやいた。
まるで、来年も私が隣にいることを当然だと思っているかのような言葉。
私は顔が少し熱くなるのを感じながら、ははっと声を出して笑った。
「そうですね。約束ですよ」
やがて夜空に広がった人工的な光は消えていき、星空だけが残った。