女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




「お前だってそうじゃないのか、岸井……」




息をのんだ。



……どうして気が付かなかったのだろう。

何故、あの常に騒がしいはずの岸井累が静かなことに疑問を持たなかったのだろう


たらりと冷や汗が流れるのがわかる。




「えっと……」




ベッドのすぐそばに立ち、戸惑いを隠せない様子で口をパクパクさせていたのは……頬を真っ赤にさせた川咲瀬那だった。



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