離婚まで30日、冷徹御曹司は昂る愛を解き放つ
 この言葉に果菜の顔に衝撃が走った。少し考えればわかることなのかもしれないが、あまりに正確に言い当てられてしまって、驚きを隠せなかったのである。

「え……ええ。まあ。そんな……ところかもしれないです」

 もうバレバレなのだが、相手の意図がわからない以上、素直に認めるのもなんだか怖かった。だから曖昧に返しながら、探るようにちらちらと遼を窺い見る。

 しかし、遼の表情から果菜は何も読み取ることができなかった。無表情という訳ではないが隙がないとでもいうか、感情をとても上手に隠しているような感じを受けた。

 果菜の返答を聞いた遼はかすかに頷くと、言葉を選ぶようにしてまた口を開いた。

「しかしあなた自身見合いを受ける気はない。だからその類の話から逃げるために避難しようとして仕方なくここまで来てしまった」

「えっ……」

 果菜は愕然とした表情で遼を見た。驚きすぎて言葉が続かなかった。
 まさかこんなに完璧に言い当てられてしまうなんて。

(この人……なに? 超能力者か!?)

 そんな果菜の反応を見て、遼は自分の想像が当たっていることに確信を持ったみたいだった。

 一歩、足を踏み出して、遼は果菜に近寄った。

「夏原さんに頼みたいことがある。この頼みを聞いてくれるのであれば、俺もあなたの力になれると思う」

「はっ?」

 次から次へと言い当てられて、それけでもだいぶ戸惑っているのに、更に何やら怪しげな頼みごとまでされて、果菜はぎょっとしたように遼を見た。

 一体何を頼まれるのかと不安な顔になってしまう。

 果菜はしばし逡巡すると、「それは一体どういうことでしょうか」とおそるおそる遼に聞いた。
< 20 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop