離婚まで30日、冷徹御曹司は昂る愛を解き放つ
(きっとすごい不審がられていると思うけど……でも別にだからと言ってこれが会社の取引とかに何か影響するようなことはないはずだよね⁉ 今はお互いプライベートなんだから。そうだよ、うん)
ぶつかったってしまったのはまずかったが、一応謝罪はした。お見合い写真を拾うのを手伝ってもらったことに対して感謝も述べた。失礼のないように挨拶もした。
一応すべての対応はクリアしている。だったら別にこれ以上、ここに留まる必要はないはずだ。
(うん。お見合い写真をぶちまけたことは黒歴史として封印して忘れよう)
一瞬の間でそこまで考えた果菜は、さっと遼に向き直った。
「本当にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。では、私はこれで」
至極真面目な表情を作ってそう言うと、果菜はぺこりと頭を下げた。
「失礼します」と言って踵を返そうとする。
「待って」
しかし、果菜はその場を去ることができなかった。見れば、遼が果菜の腕を掴んでいる。
「えっ?」
まさか、引き留められるとは思っていなくて、果菜はびっくりして目をまん丸にしながら遼を見る。
遼は、なぜかそこで愛想良くにこりと笑った。
(え! 笑った⁉)
――感情がないって意味もこめられてるらしいんです。ほとんど笑ったりもしないって。
不意に脳裏に舞花の言葉が甦った。当然ながら、果菜は遼の笑った顔を今まで見たことがなかった。それに、遼の顔は整っているがゆえに作り物めいていて、酷薄そうな冷たい雰囲気を纏っていることから、本当に感情なんてないみたいに見えたりもした。
そんな風に思っていた相手に笑いかけられて、驚かない訳がない。しかも、どういう意図で笑ったのかがわからなくて、果菜の頭にハテナマークが飛び交った。
「夏原さん、でしたよね」
「え、あ……はい」
「このホテルで行われた親戚の結婚式に出席されていたと」
「……はい」
急に饒舌に話し出した遼にますます困惑した果菜は訝し気な眼差しを向けた。一体何がはじまったのだと警戒しながら必要最低限の言葉だけを返す。
「違っていたら申し訳ないが、先ほど床に落とされたのは見合い写真ですよね。結婚式に出席された帰りのはずなのに、たくさんの見合い写真を抱えている。もしかしてご家族やお身内の方から強く結婚を勧められているのでは?」
ぶつかったってしまったのはまずかったが、一応謝罪はした。お見合い写真を拾うのを手伝ってもらったことに対して感謝も述べた。失礼のないように挨拶もした。
一応すべての対応はクリアしている。だったら別にこれ以上、ここに留まる必要はないはずだ。
(うん。お見合い写真をぶちまけたことは黒歴史として封印して忘れよう)
一瞬の間でそこまで考えた果菜は、さっと遼に向き直った。
「本当にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。では、私はこれで」
至極真面目な表情を作ってそう言うと、果菜はぺこりと頭を下げた。
「失礼します」と言って踵を返そうとする。
「待って」
しかし、果菜はその場を去ることができなかった。見れば、遼が果菜の腕を掴んでいる。
「えっ?」
まさか、引き留められるとは思っていなくて、果菜はびっくりして目をまん丸にしながら遼を見る。
遼は、なぜかそこで愛想良くにこりと笑った。
(え! 笑った⁉)
――感情がないって意味もこめられてるらしいんです。ほとんど笑ったりもしないって。
不意に脳裏に舞花の言葉が甦った。当然ながら、果菜は遼の笑った顔を今まで見たことがなかった。それに、遼の顔は整っているがゆえに作り物めいていて、酷薄そうな冷たい雰囲気を纏っていることから、本当に感情なんてないみたいに見えたりもした。
そんな風に思っていた相手に笑いかけられて、驚かない訳がない。しかも、どういう意図で笑ったのかがわからなくて、果菜の頭にハテナマークが飛び交った。
「夏原さん、でしたよね」
「え、あ……はい」
「このホテルで行われた親戚の結婚式に出席されていたと」
「……はい」
急に饒舌に話し出した遼にますます困惑した果菜は訝し気な眼差しを向けた。一体何がはじまったのだと警戒しながら必要最低限の言葉だけを返す。
「違っていたら申し訳ないが、先ほど床に落とされたのは見合い写真ですよね。結婚式に出席された帰りのはずなのに、たくさんの見合い写真を抱えている。もしかしてご家族やお身内の方から強く結婚を勧められているのでは?」