[慶智の王子・伊集院涼介の物語]冷酷弁護士と契約結婚
翌日、緑の多い住宅街にある涼介の実家へ結婚挨拶に来ていた。


実家には祖父母の伊集院大介(いじゅういんだいすけ)菊乃(きくの)、父である圭介が住んでいる。


由緒ある伊集院家と比べ、ごく普通のサラリーマン家庭で育った鈴音は、反対されると緊張していたが、みんなが喜んでくれたので安心した。


「いや~、お相手が吉岡さんだったとは! しかも結婚に全く興味がなかった涼介の一目惚れだって? こんな奇跡が起きるんだな~。父さんは嬉しいぞ。吉岡さんは会社での評価も高かったし、優しくていい子だって聞いていた」

「案件を俺に任せてくれた親父には感謝している。一昨日出会ったばかりだけれど、こんな気持ちになるなんて。鈴音の事守ってあげたいんだ。逃げられないうちに早速プロポーズしたんだ。それと丁度空いている俺の秘書のポジションを鈴音にやってもらう。元々秘書だったし」


鈴音を愛おしく見つめ、指を絡めながら涼介はみんなに言った。彼女はただ恥ずかしくて、真っ赤になった顔を俯く。


(どうして平然とそんな嘘つけるの?)


伊集院家みんなの優しさがうれしい反面、そんなみんなを騙している罪悪感で鈴音の心はいっぱいだった。


(いつか私たちは離婚するのに。それにあんなにスキンシップしなくても。これは愛のない契約結婚で涼介さんは演技をしているだけ。分かっているけれど、勘違いしてしまっている自分がいる。どうしたらいいの?)





実家から戻り、次はスカイプでアメリカにいる鈴音の両親に、結婚の挨拶をした。


初めはとても驚いていた両親だが、鈴音のストーカーの件と涼介の誠意ある姿に娘を任せられると喜んでくれ、結婚を許した。
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