[慶智の王子・伊集院涼介の物語]冷酷弁護士と契約結婚
帰宅後フォルダを手にした涼介ら結婚の契約内容について説明を受ける。


「これが契約内容だ。あまり多くはないが、最低限の事が記されている。1つずつ説明していく」


*契約期間は1年毎更新

*離婚の際、慰謝料として、涼介所有のマンションの1つを鈴音に譲渡

*仲の良い夫婦を演じる

*仕事関係のパーティー等は夫婦で参加

*生活費は涼介が負担

*お互い名前で呼び合う

*体の関係を強要しないが、夫婦らしく見せるスキンシップはオーケー

*同じベッドで手をつないで寝る

*契約期間中は一切の不貞を認めない

*お互いが認めた相手以外この契約結婚について他言無用


「俺は不貞を絶対許さないからな、たとえ契約結婚でも。今更だがお前恋人は?」

「い、いません」

「今まで男と付き合ったことは?」

「......ありません」


俯き真っ赤になり小声で答える鈴音に、涼介は満足気にうなずいた。


「もしお前が抱いてほしいなら、いつでも抱いてやる」


口のあたりに意地の悪い笑みを浮かべる涼介。


「せ、先生は好きでもない私と、その、そういうこと出来るのですか?」

「あのな、男は出来るんだよ。単なる性欲処理だ。俺の今までの相手もそうだったからな」


戸惑っている鈴音に続ける。


「お前を無理矢理どうこうするつもりはないから安心しろ。面倒な浮気もしない。ただ俺だって性欲はあるから、したくなったら言ってくれ」

「わ、私は好きな人としかしません!」

「まぁ、いつまでそう強がっていられるか。お前も所詮他の女たちと同じで、俺を欲しがるんだよ、遅かれ早かれ」


首を横に振る鈴音に、涼介は嘲笑するように鼻で笑った。
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