[慶智の王子・伊集院涼介の物語]冷酷弁護士と契約結婚
「もっとお前といたい、触れたい、俺だけのものにしたいって。あの時電話で彰人にもハッキリ言った」
(彰人先生知っていたんだ、涼介さんの気持ち。だからあの時私に何回も話し合えって)
「お前を愛している。今更手放すことなんて出来ない。それでもまだ離婚したいのか? お前は俺の事......」
言葉を濁し、心配そうな顔をする涼介。
「り、離婚なんてしたくない。ずっと涼介さんと一緒にいたい。だって涼介さんを愛して......」
言い終わる前に、鈴音の唇が奪われた。
「もう限界だ。お前を抱きたい。俺だけのものにしていいか?」
色気を含む涼介のバリトンボイスと熱い眼差しにコクリと頷いた鈴音を抱き抱え、優しくベッドを下ろす。
繰り返される優しいキスのあと、涼介は鈴音の唇にそっと触れ、甘えるように囁く。
「口を開けてごらん」
頭がふわふわして何も考えられない鈴音は、トロンとした目で涼介を見つめ、言われた通りにする。
その瞬間、彼の熱が一気に流れ込んでくるようだった。
彼の手が、着ていた服を優しく脱がせる。
けれど、深くなるキスに息苦しさを感じた鈴音は、涼介の胸を軽く叩いた。
「んっ……はぁ……い、いき……できない……」
「鼻で息をして。大丈夫、俺に委ねて。できるだけ優しくするから」
彼の声はあたたかくて、鈴音の不安を包み込むようだった。
――だけど。
思いがけない痛みに、鈴音の目から自然と涙がこぼれる。涼介はそれにすぐ気づき、そっと彼女を抱きしめて、涙に唇を寄せた。
まるで、壊れものを扱うかのように、優しく、ゆっくりと――
彼はただ静かに、愛を注いでくれた。
女性に対して冷たく、距離を置いてきた涼介。男性に心を閉ざしていた鈴音。
そんな二人が、本当に心から愛し合えた夜だった。
「一生、俺のそばにいてほしい」
「私も……ずっと一緒にいたい」
「愛してる、鈴音」
「私も……愛しています」
互いのぬくもりを確かめ合いながら、眠りについたのは、東の空が白み始める頃だった。
THE END
* 本作はフィクションです。登場する名称・団体・商品などは架空であり、実在のものとは関係ありません。
(彰人先生知っていたんだ、涼介さんの気持ち。だからあの時私に何回も話し合えって)
「お前を愛している。今更手放すことなんて出来ない。それでもまだ離婚したいのか? お前は俺の事......」
言葉を濁し、心配そうな顔をする涼介。
「り、離婚なんてしたくない。ずっと涼介さんと一緒にいたい。だって涼介さんを愛して......」
言い終わる前に、鈴音の唇が奪われた。
「もう限界だ。お前を抱きたい。俺だけのものにしていいか?」
色気を含む涼介のバリトンボイスと熱い眼差しにコクリと頷いた鈴音を抱き抱え、優しくベッドを下ろす。
繰り返される優しいキスのあと、涼介は鈴音の唇にそっと触れ、甘えるように囁く。
「口を開けてごらん」
頭がふわふわして何も考えられない鈴音は、トロンとした目で涼介を見つめ、言われた通りにする。
その瞬間、彼の熱が一気に流れ込んでくるようだった。
彼の手が、着ていた服を優しく脱がせる。
けれど、深くなるキスに息苦しさを感じた鈴音は、涼介の胸を軽く叩いた。
「んっ……はぁ……い、いき……できない……」
「鼻で息をして。大丈夫、俺に委ねて。できるだけ優しくするから」
彼の声はあたたかくて、鈴音の不安を包み込むようだった。
――だけど。
思いがけない痛みに、鈴音の目から自然と涙がこぼれる。涼介はそれにすぐ気づき、そっと彼女を抱きしめて、涙に唇を寄せた。
まるで、壊れものを扱うかのように、優しく、ゆっくりと――
彼はただ静かに、愛を注いでくれた。
女性に対して冷たく、距離を置いてきた涼介。男性に心を閉ざしていた鈴音。
そんな二人が、本当に心から愛し合えた夜だった。
「一生、俺のそばにいてほしい」
「私も……ずっと一緒にいたい」
「愛してる、鈴音」
「私も……愛しています」
互いのぬくもりを確かめ合いながら、眠りについたのは、東の空が白み始める頃だった。
THE END
* 本作はフィクションです。登場する名称・団体・商品などは架空であり、実在のものとは関係ありません。