僕らの半年戦争~one chance more chance~

17時に退勤すると同時に真木は清算を終えて店先で待ち構えていた。

「口にソース付いてるよ…」

「いっけね。ティッシュない?」

「乙女じゃないから持ってない」

「なんだそれ」

真木がふてくされると、タイミング良くティッシュ配りから帰って来たバイト仲間と出くわす。余ったティッシュを貰う。バイト仲間はニヤニヤして店内に消えていく。

「変な目で見られたね」

「松本は男がいるって感じも雰囲気もないもんね?」

「どういうこと」

「さ~行こう行こう」

真木が歩き出す。

私は後ろからついて行く。

「どこ行くの?」

「シズルの実家。ここから2時間かな」

「場所知ってるの?」

「職務乱用って知ってる?」

「それ犯罪」

「せっかくの大学職員なんだしこれぐらい乱用しなきゃね~」

「シズルに連絡は…」

「してない。番号変わってるんだもん」

真木はニコニコしている。

この人はいつも顔と頭の中がバラバラだ。ある意味ポーカーフェイスがうまいといったところか。

恐い人。

それから、バスと電車を乗り継いだ。
段々窓から見える景色が殺風景になってくる。どんどん緑が多くなる。


「ヤバい緊張してきた。この辺なんだけどな…」

真木は同じところを行ったり来たりと繰り返している。
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