僕らの半年戦争~one chance more chance~
この世に生まれる前に埋もれてしまった作品。

見る度に懐かしさに捕らわれる。

「…みんな元気かな?」

何度も同じように思ったことか。
いつもはあの日を忘れてはならないという自分への戒めでその場は終わる。

しかし、今日はいつもと違った。

急にみんながどうしているのか無性に気になってしまった。気になったことは自分が納得するまで調べ尽くす、そんな大学時代の職業病が今になって騒ぎ立てた。

だけど私の脳内の『みんな』はあの日のみんなだけ。

涙、怒りと悲しみ。離れ離れ。


あの人なら…。


そう思い、携帯を手にする。

アドレス帳を開く。

『真木宗一郎』

その名前に懐かしさが込み上げる。
3年も経っているのだ。もしかしたら、携帯番号も変わってるかもしれない。それでも私はなんとなく通話ボタンを押していた。

トゥルルトゥルルと、呼び出し音が鳴る。番号は変わってなさそうだ。

ホッとしたのも束の間、急に心臓が活発に騒ぎ立てる。

呼び出し音が途切れる。

『留守番電話サービスに接続します』

留守番かよ…。
期待を裏切られたようで思わず唇を尖らせる。

しかし、その期待は裏切らなかった。

音声が肉声に変わる。

『もしもし?』
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