騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!
ここ女子寮の二階から階段を飛び降り、寮にいる寮母のいってらっしゃいの声を耳にし返しつつも走った。
最短距離で中庭を通りつつも全速力で鍛錬場を目指した。そして……辿り着き懐の懐中時計を凝視する。よしっ2分前だっ!!
「間ぁに合ったぁ!」
「おっセーフだなテレシア! 団長来てないぞ」
「おはようさん!」
「おはようございますっ!」
ようやく鍛錬場が見えて滑り込み、同じ緑の制服を着た男性達のところへ飛び込んだ。
3つの列が並ぶ内の、一つ空いた位置にすぐに立つと団長がやってきた。うちの騎士団である第三騎士団の騎士団長。
この鬼に捕まって地獄のお説教からの始末書なんてたまったもんじゃない。絶対遅刻なんてしてたまるもんですか。ただでさえここに女性は私一人なんだから。
「点呼を取る!」
「「「はいっ!」」」
はぁ、間に合ってよかった。と安堵したからか今朝の記憶が勝手によみがえってきた。そういえば、床に散乱していた服の一枚。どこか見覚えのあるものだったような気がする。そう、騎士団の制服のような……
しかも、白。
白、という事は近衛騎士団の制服を意味する。我々騎士団よりも格上のエリート騎士団だ。
いや、まっさかぁ。ないないない。そんな雲の上のようなエリート様となんて仕事でちょっとだけ会うくらいでしかないし。それはないって。
……あ、やば。次私の番だ。
「次っ!」
「はいっ! テレシア・マーフィス!」
「次っ!」
とりあえず、考えるのは後にしよう。これから朝の鍛錬なんだ、気を抜こうもんならすぐにバレて大変な事になる。
そうして、恐ろしい朝の鍛錬を終わらせる事が出来た。
「テレシア、二日酔いはどうした?」
「ヤバいです、朝頭ガンガンでした」
「あれだけ飲めばそうなるって。俺だってそうだしな」
鍛錬場の外に設置されている水道で手を洗う私に話しかけてきたガストン先輩は、いつものことながら上半身裸。汗だくだからって言ってくるけれど、それはやめてほしい。他の先輩達はシャワールームに行ってちゃんと服着てるのに。
それよりも、ガストン先輩。貴方が私に飲ませたんでしょうが。奢ってやるなんて言って。
とはいえ、払ってもらったんだから文句は言えないが。