騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!
3.ナイトパーティーに潜む危機
狩猟大会後に予定されていたナイトパーティーは変更なく開催された。とはいえ、私はドレスを汚してしまったため仕方なくパーティー会場の警備の方に回った。そう、仕方なくだ。
今回の事件の事後処理で人員不足となっていたため、仕方なく加わらせてもらえた。
けれど……困った。私があの時キャッチしお借りしたあの剣を持ち主に返せていない。後で聞いたら、これは近衛騎士団騎士団長のものだったらしい。確かにあの時私を呼んだ声は彼のものだったかもしれない。
けれど、知った時にはもう彼の姿はなく、返せていない。これがなかったら仕事が出来ないのでは、とも思ったけれどきっと予備もあるだろう。でも、これはどうしたものか。
仕事中に返せるかと思って自分の分とお借りした剣の二つを今腰に提げているけれど……どうしよう。
見たところこの剣はすごく繊細な模様が彫られてるし、切れ味も良かった。だいぶ手入れがされているし、剣自体がきっと高級なものなのだろう。……鞘から抜いた時、鞘をぽいっと投げちゃった件に関しては、謝りたいけれど。でも、スカートを掴んで走るためにはあれは邪魔だった。仕方ない。
「子息達の取り調べは第一騎士団が、そしてウチは森の中の調査を言い渡された。お前も加わっていいぞ」
「……狩猟大会では私用で〝警備〟から抜いていただいただけですので、騎士団員としての仕事はきっちり致します」
「お前なぁ……そんなに外されたのが気に食わなかったか」
副団長のその呆れ顔に何となく腹が立つが、今はナイトパーティー中で会場内の端にいる。気は抜けない。
「はぁ、本当ならお前はこのパーティーにも参加してたんだろ? いいのか?」
「問題ありません。今は調査に団員を回しているので人手は一人でもあったほうがいいでしょうからね。きちんと特別手当をいただきます」
王城に設けられたパーティー会場は、いつもながらにとても煌びやかで素敵な音楽も流れてくる。きっとお父様はこのナイトパーティーに参加して殿方と顔見知りになってほしかったことだろうけれど、こうなってしまっては仕方ない。
さて、困ったな。お父様にはどう手紙を送ろう。……やっぱり、陛下の冗談を入れた方がいいかな。
「抜け目なしかよ。ったく、せっかくドレス着たのに血まみれにしたとか、お前流石だよな」
「……一応騎士団員ですから」
それに関しては、私はこれ以上はノーコメントだ。せっかくの綺麗なドレスだからだいぶ緊張して、しわにならないように、汚さないようにと気を付けていたのに台無しにしてしまったから、だいぶ心が痛んだ。
本当に申し訳なかったとは思ってる。
「お前がそれでいいならなんも言わんけど、お前の両親それ聞いたら泣くぞ?」
「……さぁ?」
「親孝行してやれ」
副団長には言われたくない。ついこの前魔王城に向かわされた事はまだ覚えてるからな。
あれは本当に恐ろしかったんだから。