いつの日か巡り会える  その日まで   完

「(私も眠いけど頑張ろう……。
 今日の夜はこれだけ頭を使えば
 嫌でも寝れそうだから。)」


静かにペンをはしらせていくと
次に与えられた問題は恋だった


……‥‥‥恋‥‥か。恋と聞いて思い浮かぶのなんてそんなの一つしかない。
だって‥私は今までだってその人にしか恋をしていないのだから。



瀬木さんはどんな恋をしてきましたか?


私の頭に思い浮かぶのは図書館でいつも先輩の隣で笑っていたキレイな人。
今は恋人はいないって言っていたけど
あの人とは別れてしまったのだろうか‥


本当にお似合いだった。先輩もいつも
彼女には柔らかい表情になっていたから覚えてる‥‥。


私と先輩は、放課後の図書室でだけ
会っていたけれど、時々すれ違えば、面白い本を教えてもらう程度だった。


窓際に座る先輩を一目見るために、
一番遠くの向かい側に座って
本を読むのが臆病な私に出来ていた。



『隼人、お待たせ!!』


先輩の元にはいつも帰る前に来るとても綺麗な人がいた。その人が来ると
無表情な先輩は必ず笑ったのだ。


それだけでその人のことが好きだと分かるくらい嬉しそうに‥‥。


当時はあの女性に向けられた先輩の笑顔が見れるとそれだけで私はカッコいい
なんて思えていたのかもしれない。



『これ読み終わったけど読む?』


私の事を気にかけていてくれた‥‥。
そんな事がたまらなく嬉しくて
受け取った本を両手で抱き締めたのも
覚えてる‥‥。


その時だけは彼女の向ける笑顔が自分に向けられていて嬉しかったな‥‥。
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