面社長のお見合い8連敗~庇護欲強めの恋愛初心者でした~
 午後からも心を入れ替えて頑張ろうと調理場へと向かった。

 小麦粉が焼けるいい匂いが漂っていて、何だろうと確認していると真央ちゃんがオーブンの中を覗き込んでいた。

 私たちが帰ってきたことに気づくと慌てて隠そうとする。勝手に使うのは許されないことだ。

「真央ちゃん、何をやっているの!」

「すみません。私も早くパティシエとして一人前になりたいんです」

 気持ちは痛いほどわかるが、ある程度修行をしてからでなければ、独り立ちができないというのがうちの会社のルールなのだ。

 一般的なパティシエの世界もそうであるに違いない。私は専門学校を出たとはいえ、かなりラッキーでこの立場にいさせてもらっていると思っている。

 真央ちゃんの表情がだんだんと強張っていく。

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