面社長のお見合い8連敗~庇護欲強めの恋愛初心者でした~
 自分の気持ちが思わぬ方向に進んでいる気がして慌ててパッと手を離した。

「ほ、ほら……こうして自分の社員のことをお世話しようと思ってくれますし!」

「俺の社員だからって誰でも自分の家で世話をしたいとは思わない」

「え?」

「俺の家にいるということを知っているのは、小阪だけだ。誰にも言っていない」

 特別だと言われているような気がしてしまう。

 恥ずかしいというかくすぐったいというか、不思議な感情に陥る。

「季菜子、俺に言っただろう?」

「何を……ですか?」

「どんな人と結婚したいか」

 あまりにも真剣な眼差しだったので、目をそらすことができなかった。私は唾液をごくっと飲む。

「ええ、言いましたね」

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