【悲報】冷徹上司の毒牙にかかり推しごとがはかどらない件について
エピローグ

「はぁ、素敵……」

思わず溜息をもらした私に悠悟さんが眉をしかめた。

「また攻略したのか」

彼と付き合って半年が経った。

私は相変わらず乙女ゲームが大好きだった。

最近ハマっているのはアイドルグループメンバーがキャラクターのものだった。

こうして悠悟さんの家にいて一緒に過ごしていてもゲームをする時間を提供してくれる彼はやっぱり大人で寛容だ。

とは言ってもゲームの時間は夜九時まで。
それからはふたりで過ごす時間と決まっていた。

今夜は夜景を見ながら二人でお酒を飲むことにしていた。

おつまみは私が作ったクリームチーズとサーモンのカナッペだ。

「残っている攻略キャラはあと何人なんだ?」
「ふたりです」
「もうふたりか。ずいぶんと攻略が早いな。男を落とす手段が磨かれてきたか」

いじわるな言葉に私は笑い返した。

「そうね。最高のイケメンに愛されたので、そこには自信があるかも」
「へぇ。言っておくが俺はまだ攻略されつくしてないぞ。コンプリートはハッピーエンドを迎えたらだろ?」

私は不可解に思って首を傾げた。

「私、もう十分ハッピーですけれども?」
「そうか。それは嬉しいが、俺はまだ欲深いんだ」

言うなり悠悟さんは小箱を差し出した。

中には眩い輝きを放つダイヤをあしらった指輪が入っていた。

驚く私に彼は跪くと指輪を差し出した。

「君が好きそうなプロポーズの言葉をいろいろ考えたんだが、いざ本番を迎えると緊張するな。気障過ぎるセリフを言って笑われないといいんだが」

悠悟さんの微笑に励まされ、私は泣きそうになるのを堪えた。

どんなに素敵なお話を見届けてもけして現実では縁のないと思っていた最高のハッピーエンドを、私は今まさに迎えようとしていた。

私はかぶりを振ると微笑んだ。

「もしその機会を神様に与えてもらったら、その時に相手の方からもらう言葉は一番シンプルなものがいいと思っていました」
「そうか、なら安心だ」

悠悟さんは愛に満ちた目で真っ直ぐに私を見つめた。

「美香、どうか俺と結婚してください」
「はい、喜んで!」

最高のハッピーエンドを手に入れた私に、永遠の誓いのキスが降り注いだ。





< 70 / 70 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:42

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

クール弁護士の背中に恋をしたら、なぜか溺愛監視されています
蛙月/著

総文字数/4,640

恋愛(ラブコメ)3ページ

超短編!フェチから始まる溺愛コンテストエントリー中
表紙を見る 表紙を閉じる
法律事務所で事務員として働く小宮希(こみやのぞみ)には、絶対に譲れないこだわりがある。 それは、たくましい男性の背中。 顔がよくても、仕事ができても、男のすべては背中でわかる―― 「いつまでも妙なフェチ持ってたら、そのうち誰からもお声がかからなくなるわよ」 「う、辛辣……」 そんな希は、ついに理想の背中に出会う。 なんとその持ち主は、事務所で希が苦手としている銀縁眼鏡のクールな若手弁護士・坂下玲(さかしたれい)で―― 秘密を知られた玲は、紗季に告げる。 「目が届かないところで誰かに話されても困る。俺と付き合え」 小宮 希(24歳) かわいいがフェチが強すぎ残念女子 × 坂下 玲(29歳) 表は冷静沈着&クールなイケメン弁護士 裏は… 恋の始まりは、まさかの背中。 不器用弁護士と残念ヒロインのラブコメディ。
腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない
  • 書籍化作品
蛙月/著

総文字数/67,389

恋愛(オフィスラブ)143ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
MRとして仕事一筋に生きてきた私は、突如婚約者の裏切りを知る。 傷心して立ち尽くすのを救ってくれたのは、天才と呼ばれる心臓外科医・鷹宮一真先生だった。 「君はよく頑張ってきた。だから今だけは甘えてくれ、俺に……」 仕事熱心で優しい先生の思いやりに感謝していたものの 「君のことが好きになった。……今は特別だ」 腹黒モード全開の先生に溺愛猛攻される日々が始まって――!? 「君を困らせてやりたいのを抑えてる」 「少しずつでいいから、俺を意識してもらえないか?」 「愛してる。君を絶対に離さない」 でも仕事がきっかけでつながっている私たち。 本当に結ばれていいの…? 鷹宮一真(32歳) 天才心臓外科医 甘い顔立ちの優しいドクター(実は腹黒) × 美沢清那(26歳) 仕事一筋MR 根は泣き虫の頑張り屋 傷心MRと天才外科医が織りなす、切なくも甘い、大人の溺愛ラブストーリーをお楽しみください。 ※マカロン文庫五月刊で発売されるものの編集前のお話になります。 ※書籍版は改稿・番外編が加わってさらに糖度が増しておりますので、よろしくお願いいたします!
表紙を見る 表紙を閉じる
嫌がらせ被害におびえる私を救うため、協力を仰いだのは、兄の親友である現役刑事。 黒瀬湊さん 警察幹部を父に持つエリートながらも、自力だけで出世への道を歩む元SATの気鋭の刑事。 子供の頃のトラウマのせいで彼と打ち解けられないまま大人になった私は、大柄で無口な彼が今も苦手…。 そんな彼との、まさかの同居生活。 でも彼は、まるで子猫を扱うように私に過保護で優しい。 「きみを怖がらせるものは、俺が退ける」 「怖いときには呼んで。必ず守るから」 「離れるなんてだめだ。俺のそばにいてほしい」 その想いはむしろ熱烈で、そばにいると胸がぎゅっとなる。 打ち解けていくにつれ、彼と想いが重なり合っていく。 でも、事件の真相が明かされるにつれ、二人の関係に揺るぎが生じて……。 黒瀬 湊(32歳) 無口で寡黙だけど過保護で甘々なエリート刑事 ✖️ 白石 千紗(25歳) 怖がりやの保育士 誤解、すれ違い、そして困難を経て重なる想い。 包容力いっぱいのエリート警察官に愛されて恋に落ちていく、じれ甘×溺愛の同居ラブストーリーをお楽しみください。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop