奈落の悪役メイドは孤高の御曹司に求愛される
ご主人様のお部屋
帰宅後、早速置き手紙とメールを通して伝えた。

案の定驚かれたのだが、住み込み勤務のインパクトが強すぎたためか、バイトを辞めたことに関してはさほど追及はされず。

後日行われた面接にて許可が下り、正式に働くことが決まった。



「──これで全部か? 忘れ物は?」

「ない。ありがと」



出発日を迎えた土曜の午後。

曇り空の下、パンパンに膨らんだボストンバッグとキャリーケース、スクールバッグを車のトランクに入れた。



「……じゃ。いってきます」

「いってらっしゃい。失礼のないようにな」



名残惜しそうな顔で手を振る父。

「ん」と短く返事をして後部座席に乗り込み、シートベルトを着用する。



「それじゃ、出発してもいいかな?」

「はい。よろしくお願いします」



ハンドルを握る入江くんのお母さんに頭を下げると、エンジンがかかった。

車が動き出し、自宅の前で見送る父の姿が小さくなっていく。
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