奈落の悪役メイドは孤高の御曹司に求愛される
「雨、止んで良かったわね〜」

「夜中ザーザー降りだったもんね。雷も鳴ってたし。毎年こんな感じなの?」

「そうね。ひどい時は電車もバスも止まるし。場所によっては冠水したり浸水したりするところもあるそうよ」



お天気トークを繰り広げる2人。


そっか。入江くんにとっては久しぶりの梅雨なんだっけ。

外国にも雨が多い時期はあるみたいだけど、梅雨とはまた違ってきたりするのかな。



「乃蒼ちゃん、寒くない?」



海外の天気事情を調べていたら、優しく気遣う声が聞こえた。

スマホをいじる手を止めて前を向くと、入江くんが助手席から身を乗り出して私を見ている。



「もし寒かったら、そこにあるブランケット使っていいからね」

「ありがとう。でも大丈夫。長袖着てきたから」



防寒対策バッチリだとアピールすると、「そう? なら良かった」と安心したように目を細めた。


本格的に仕事が始まるのは明日から。
だが今日は、それ以上に大切な顔合わせの日。

前職と同様、恐らく今回も最年少になると思い、ベージュのブラウスに紺色のロングスカートと、露出と色味を抑えた服を着用した。


学校では無慈悲な悪魔だけど、恩人の顔に泥を塗るほど性根は腐っていない。
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