奈落の悪役メイドは孤高の御曹司に求愛される
後を追おうとしたら、こそっと耳元で囁かれた。

手を引かれて2階に上がり、ドアプレートがかけられた部屋に入る。



「ごめんね急に。あれじゃ一向に進まないと思ったから」

「ううん」



入江くんは掴んでいた私の手を放すと、ドアに寄りかかり、ふぅ、と溜め息をついた。


一般的な一戸建て、じゃないもんね。まだ半分しか紹介されてないし。あのペースだと夕方になっちゃいそうだもんね。


高鳴る胸を落ち着かせようと視線を外す。

すると、扉付きの本棚に飾られている猫のぬいぐるみが目についた。



「可愛い〜。アメショーちゃんだ〜」

「友達からのプレゼントなんだ」



入江くんが扉を開けてぬいぐるみを取り出した。

手のひらに乗るコンパクトサイズ。

赤い首輪には小さな鈴と、『George』と書かれたプレートが付けられている。この子の名前だったりするのかな?
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