奈落の悪役メイドは孤高の御曹司に求愛される
「次は反対側に移るけど、何か質問とかある?」

「2階は、掃除するのは階段と廊下と、窓だけでいいの?」

「うんっ! メインは共用スペースだから。個室は依頼があった時にすればいいから大丈夫だよ!」

「……」



黙り込んでしまった入江くん。

ジト目で見つめる彼の視線をたどり、後ろにいる人物に体ごと振り向く。



「……朱李ちゃん、もういいから。仕事に戻って」

「戻ってるわよ。見てわからない?」

「さっきから同じところばかりやってるように見えるんですけど」

「念入りにしてるんですぅ」



ほうきを握りしめたまま、ムスッと口を尖らせている。

丁寧にやるのは良いことではあるけど、応接間を出てからずっと私たちにべったりだもんね。



「ご覧の通り、気が遠くなりそうなくらいの規模だけど、基本的には家や学校でやってるみたいな感じでOK! 家電もバンバン使ってもらって大丈夫だよ! 私も疲れてる時はロボット掃除機に頼っちゃうし」

「は、はいっ」

「掃除用具はここ! バケツとかぞうきんとかの水回り系のものは洗面所に置いてるけど、ほとんどはここの物置部屋に収納してるかな。さっき言ってたロボット掃除機はね……」


「乃蒼ちゃん、こっち」
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