聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
戻れば必ずヴァレリアはアーロンを出迎えた。
「ひどくお疲れですね。治癒魔法を……」
父親がいなくなった今、アーロンに取り入るのに必死だな、と鼻白んでいた。
自分に断られて毎回傷ついているのは知っていた。
けれど、その手を1度として取ったことはなかった。
勝手なもので、たまにしか帰ってこないし、帰ったら帰ったで妻に冷たく接しているくせに、ブランカ宮殿は居心地がよく心が安らいだ。
空気が澄んでいて柔らかかった。
アーロンの寝室は特にそう感じられた。
深く眠れて疲れもしっかり取れた。
それがヴァレリアの浄化と祝福魔法によるものだと知ったのは、ヴァレリアが亡くなってからのことだった。
『奥様からは口止めされていましたが』と言って、家令が教えてくれたのだ。