聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
※
「教えてもらう側なのに、お待たせしてしまってごめんなさい」
マルティーナが廊下をぎりぎり走らない速度でやってきたのは、つい10分ほど前のことだ。
にも拘らず、ルーカスの口はすでに開きっぱなしだ。
(ウーゴから聞いていたとはいえ、ここまで規格外だったとは……)
「不安な科目から潰していこう」
ルーカスの提案に、マルティーナは恥ずかしそうに言った。
「実は複合魔法がさっぱりで……」
「それは、筆記と実技のどちらも、ということ?」
ふたつ以上の魔法を掛け合わせることを学ぶ科目なのだが、筆記と実技試験の両方を受けなければならない。
「いいえ、筆記だけです。実技は問題ありません」
「んんん?」
(筆記ができないのに実技ができるはずがないだろう!)
盛大に突っ込みたい衝動に駆られたのを、ぐっと堪えた。