聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました



「教えてもらう側なのに、お待たせしてしまってごめんなさい」

 マルティーナが廊下をぎりぎり走らない速度でやってきたのは、つい10分ほど前のことだ。
 にも拘らず、ルーカスの口はすでに開きっぱなしだ。

(ウーゴから聞いていたとはいえ、ここまで規格外だったとは……)

「不安な科目から潰していこう」

 ルーカスの提案に、マルティーナは恥ずかしそうに言った。

「実は複合魔法がさっぱりで……」
「それは、筆記と実技のどちらも、ということ?」

 ふたつ以上の魔法を掛け合わせることを学ぶ科目なのだが、筆記と実技試験の両方を受けなければならない。

「いいえ、筆記だけです。実技は問題ありません」
「んんん?」

(筆記ができないのに実技ができるはずがないだろう!)

 盛大に突っ込みたい衝動に駆られたのを、ぐっと堪えた。
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