聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
「……マルティーナ君?」
「あっ、は、はい!」
「朝食を食べに行けそうですか? もしよければ、ここまで運びますよ?」
「いいえ、寝過ぎて体が痛いので、少し動きたいです」
「なら4人で食堂に行きましょう」
ルーカスはマルティーナのことも気になっていたが、食堂へ向かう途中でそれ以上の異変に気を取られた。
ブランカ宮殿特有の居心地よさが感じられなくなっていたのだ。
もちろん、手入れがされている快適な宮殿ではあることには変わらないのだが、ほかの宮殿にはないその特別な空気が消えていた。
マルティーナもまた何かが気になっているようで、きょろきょろ見回していた。
「朝食後でいいので、確かめたいことがあります」
食堂に入る前に、静かにそう告げた。