聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
しかし、そんなマルティーナの声色に気がつかなかったのか、ウーゴは柔和な笑顔で振り向いた。
「おう、同じクラスだったな。これからはクラスメイトとしてよろしく」
「こちらこそ。ところで、昨日のことなんだけど……」
「昨日? 何だっけ?」
マルティーナは声を落とした。
「ほら、さっき新入生代表で挨拶した人に連れていかれたでしょう?」
「ああ、ルーカスな」
「ル……!?」
気安い呼び捨てに、背中が震えた。
「い、いいの? あの人、王族なんじゃ……」
「ああ、そうだって。第3王子って言ってたかな?」
マルティーナの驚愕をよそに、ウーゴは淡々と答えた。
「第3王子を呼び捨てしていいの?」
「俺だってもちろん最初は『殿下』って付けたよ。だけど、あっちから『やめてくれ』って。『王位継承権はもってるけど、王位に就く可能性は限りなくゼロに近い』んだって」
(だからって、本当に……?)