モイラ --天使が犯した罪と罰--
帰宅して、私は日記にこれまでのことを書き殴った。
ペンに付属したトパーズが、悲しげに煌めいていた。
ユマ・オーウェンという女性は、
心臓病を持って生まれ、
治療の中でクロイと恋人になり、
とある結合双生児の片割れの心臓を移植後に
急変し亡くなった。
全容が見えてきて私は、ふとアイテルの言葉を思い出した。
『俺は、元々“結合双生児”だったんだ』
『脇腹辺りに、俺と妹はくっついてたんだ。
けれどお互いを離す手術中に、妹は亡くなってしまった』
結合双生児の手術など、決して多くはないはず。
ましてやその後、心臓移植など──…。
私はふと頭に1つの可能性が浮かんだ。
そっと胸の傷を撫でて、天にいるアイテルに問いてみる。
「アイテル……今動いてる心臓は、もしかして妹さんのものなの?」
もし天にいるなら、答えてよ。
今の私なら天使の声を聞くことができるのだから。
しかし私の予想通り部屋は静寂に包まれ、落胆するとともに何故か安堵の気持ちが胸に広がった。
今の私に真実を受け入れる覚悟は、まだきっと…ない。