プレイボール
「初めのオリエンテーションが終わり本日より、授業が始まる。皆、“学生たるもの青春を謳歌せよ”」
そう言って、HR(ホームルーム)を終えた担任の川端先生が教室を出ていく。

僕もやっと授業が頭に入ってくるようになったみたいだ。今までほんとに野球部のことでいっぱいだったんだなと改めて思う。

1限目は英語だった。井ノ口先生がチャイムと同時に入る。オリエンテーションの時は特に何も思わなかったけど、とてもスタイルが良い。日本人離れしている。
そんな彼が入ってくるなり言う。

「初めのオリエンテーションで話した通り、うちの学校ではbe動詞など基本的な文法をわざわざ授業で扱うことはない。
本日は俺が作った映画を1本みてもらう。その後に英語で感想文を提出せよ。以上だ。」

そう言って、教卓上からスクリーンが降りてきた。
カーテンも自動で閉まる。

僕は井ノ口先生が制作したという映画を2時間たっぷりと英語でみることになった。

内心僕はどうでも良いとは思っているその授業をテキトーに受ける。
もう少し教室が明るかったら内職もできるのになと思いながらこっそりカバンに忍ばせておいた鉄アレイで筋トレを始める。
目立つ動きはできないから手首を鍛える。

別に英語は好きでも嫌いでもない。僕にとってはただのコミュニケーションの手段にすぎない。

周りの生徒を見回すと彼らも映画の内容にはついていけてるみたいだ。
中学校でこんな英語の授業を始めたら大抵は理解不能な生徒が多くて眠っているかふざけているかなのに、さすが進学校だけはあるなとは思う。

そうこうしているうちに午前中の授業が終わった。

「一郎君、生徒会室へ行こう」

チャイムがなるなり前の席の仁太が振り向いて言う。

僕たちは生徒会室へ向かった。
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