大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)
第1話・赤い運命
【悲しき口笛】
(ミーンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミン…そよそよそよ…)
時は、1923年(大正12年)8月4日の午後1時頃であった。
場所は、愛媛県越智郡玉川町の山奥・鈍川温泉《にぶかわおんせん》にて…
温泉街の付近を流れる川のせせらぎの音と森林の木々に止まっているセミの鳴き声が響いていた。
ところ変わって、温泉街にある高級旅館にて…
高級旅館の100畳の大広間におおぜいの人たちが集まっていた。
この日は、一組のカップルさんの祝言《しゅうげん》(ひらたく言えば挙式披露宴)がとりおこなわれていた。
この時、出席者のみなさまたちがおいしいお酒をのみながら楽しくお話をするなどして過ごしていた。
その中で、5人分の席が空いていた。
今回の祝言《しゅうげん》に出席していた5人家族は、ある人と会う予定があるので席を外していた。
またところ変わって、旅館の奥座敷の部屋にて…
(ミーンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミン…そよそよそよそよそよそよそよそよそよそよそよそよ…)
奥座敷の部屋に、セミの鳴き声と川のせせらぎが響いていた。
部屋のテーブルに、城島和義《きじまかずよし》(58歳)の家族5人が集まっていた。
和義《かずよし》の家族は、妻・沙知代《さちよ》(60歳)と養女・きょうこ(19歳・のちに私・コリントイワマツヨシタカグラマシーのママになる女性〜以後はママと表記する)と次女・香那《かな》(14歳・旧制中学2年)と三女・恵那《えな》(13歳・旧制中学1年)の4人である。
この時、ママは胎内《なか》に私・コリントイワマツヨシタカグラマシーを宿していた。
ママは、妊娠7ヶ月目であった。
話は変わって…
この日は、東京で海運会社を営んでいる才之原《さいのはら》の家のご家族4人がお越しになる予定であった。
才之原《さいのはら》の家のご家族は、ご主人(56歳)と奥さま(55歳)と長男(26歳・商社マン)と次男(17歳・旧制中学5年)の4人であった。
和義《かずよし》と沙知代《さちよ》は、ママの胎内《なか》にいる私を父親のいない子にさせたくない気持ちでいっぱいであった。
きょうこの胎内《なか》にいる赤ちゃんを父親のいない子にさせたくない…
そのためには、才之原《さいのはら》のご長男と結婚させないと…
(ガラッ…)
この時であった。
むらさきの着物姿の仲居さんがゆっくりとふすまをあけた。
仲居さんは『先方さまがご到着しました。』とお声がけした。
その後、才之原《さいのはら》の家のご家族4人が部屋に入った。
沙知代《さちよ》は、才之原《さいのはら》のご夫婦にやさしくお声がけした。
「才之原《さいのはら》さま。」
「ああ、これはこれは…城島《きじま》の家のみなさま、おまたせしました。」
初対面のごあいさつのあと、両家の家族たちが対面状態で話し合いをした。
「才之原《さいのはら》さま。」
「あっ、はい。」
「秀祝《ひでのり》さんは、来年(旧制の)中学を卒業なさいますね。」
「あっ、はい…卒業後はヒトツバシ(大学)へ進学するための準備に入る予定です。」
「そうですか…ご主人さまもヒトツバシのご卒業でしたね。」
「ええ、うちの男子はみな一流大学卒で一流のお仕事についているのですよ…ねえあなた〜」
…………
才之原《さいのはら》の奥さまは、じまんげな声でペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ…としゃべりまくった。
それから20分後に、奥さまはものすごく言いにくい声で沙知代《さちよ》に言うた。
「あの〜…城島《きじま》の奥さま〜」
「はい、なんでしょうか?」
「たいへん言いにくいお話しでございますが…城島《きじま》さん方のキンリンに…トシゴロのムスメさんは…いらっしゃるでしょうか?」
沙知代《さちよ》は、ものすごくコンワクした声で言うた。
「えっ?うちの近くにトシゴロのムスメさんはいますか?…ですね。」
才之原《さいのはら》の奥さまは、ものすごく言いにくい声で沙知代《さちよ》に言うた。
「ああ、もし近くにいられたらでいいですよ。」
「ええ。」
「うちの洋祝《ひろのり》は、これまでに200回お見合いをしているけれど、全部お断りがつづいているのよ〜」
「あらどうして?洋祝《ひろのり》さんは、ハンサムなお顔でお仕事ができる人なのに…」
「そりゃそうですけど…洋祝《ひろのり》は、持って来てくださったお見合いが気に入らないと言うてお断りばかりしているのよ~…ほんとうに困った子よ。」
「奥さま、洋祝《ひろのり》さんはどう言った女性《おあいて》をのぞまれているのですか?」
「それはもう…お家柄のいいお嬢さまですよ…だけど、洋祝《ひろのり》の身の丈に合う女性《おあいて》が近くにいないのよ。」
「困ったわね。」
「そこで、お顔の広い城島《きじま》のご夫婦に洋祝《ひろのり》の花嫁《おあいて》探しをお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?」
才之原《さいのはら》の奥さまの言葉を聞いた沙知代《さちよ》は、おおらかな表情で『任せてください。』と答えた。
この時、まだママに縁談《ハナシ》は来なかった。
その翌日(8月5日)の午後1時過ぎであった。
ところ変わって、今治市松本町にある大型和風建築の家にて…
家は、城島《きじま》の家の家族5人と女中さんの合わせて6人が暮らしていた。
沙知代《さちよ》は、朝から電話をかけていた。
才之原《さいのはら》の奥さまから長男の花嫁《おあいて》さがしを頼まれた沙知代《さちよ》は、あちらこちらの家に電話をかけていた。
しかし、おことわりの返事ばかりがつづいたので沙知代《さちよ》はものすごく困っていた。
「えっ?おことわりしますって…才之原《さいのはら》の家のご長男さんは、ハンサムでお仕事ができるいい人なんですよ…一流大学卒で一流企業に勤務なされているのですよ…年収は2000円(今の金額で1200万円)ですよ…花嫁《およめ》さんを十分にやしなえる金額ですよ…そうですか分かりました…それじゃあ、ご主人さまによろしくお伝えくださいませ…」
(ガチャ…)
沙知代《さちよ》は、大きくため息をつきながら受話器を置いた。
その後、和義《かずよし》がいる大広間に行った。
ところ変わって、大広間にて…
大広間にいる和義《かずよし》は、読みかけの新聞をテーブルの上に置いたあと大広間に入った沙知代《さちよ》に声をかけた。
「どうだった?」
「(△△さん)カタの家もだめだったわ。」
「なんで?」
「(△△さん)カタのご夫婦は、ムスメの結婚相手《おあいて》は近くで暮らしている人じゃないとだめと言うたのよ。」
「それは困ったな…」
「あなたどうします。」
「どうしますって?」
「うちは、もっと深刻な問題を抱えているのよ。」
「そんなことは分かってるよ…きょうこの縁談《ハナシ》はまだだと言うことだろ!!…そのうち、きょうこを迎えに来る白馬の王子さまがやって来るよ!!」
「そんなのんきなことを言わないでください!!」
「なんで急に怒るのだよ!!」
「あなた!!きょうこは今年の11月頃に出産予定日を迎えるのよ!!」
「そんなことは分かっているよ!!」
「分かっているのだったら動いてよ!!」
このあと、沙知代《さちよ》と和義《かずよし》は怒鳴り合いの大ゲンカを繰り広げた。
その頃であった。
ママは、自分の部屋でゆっくりと過ごしていた。
ママは、胎内《なか》にいる私に声をかけた。
「よーくん…またジイジとバアバが大ゲンカを起こしたわよ…困ったわね…」
またかいな…
それよりもママ…
私は…
カナダに帰りたいけど…
いつになったら帰ることができるのだよ…
時は、1923年(大正12年)8月4日の午後1時頃であった。
場所は、愛媛県越智郡玉川町の山奥・鈍川温泉《にぶかわおんせん》にて…
温泉街の付近を流れる川のせせらぎの音と森林の木々に止まっているセミの鳴き声が響いていた。
ところ変わって、温泉街にある高級旅館にて…
高級旅館の100畳の大広間におおぜいの人たちが集まっていた。
この日は、一組のカップルさんの祝言《しゅうげん》(ひらたく言えば挙式披露宴)がとりおこなわれていた。
この時、出席者のみなさまたちがおいしいお酒をのみながら楽しくお話をするなどして過ごしていた。
その中で、5人分の席が空いていた。
今回の祝言《しゅうげん》に出席していた5人家族は、ある人と会う予定があるので席を外していた。
またところ変わって、旅館の奥座敷の部屋にて…
(ミーンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミン…そよそよそよそよそよそよそよそよそよそよそよそよ…)
奥座敷の部屋に、セミの鳴き声と川のせせらぎが響いていた。
部屋のテーブルに、城島和義《きじまかずよし》(58歳)の家族5人が集まっていた。
和義《かずよし》の家族は、妻・沙知代《さちよ》(60歳)と養女・きょうこ(19歳・のちに私・コリントイワマツヨシタカグラマシーのママになる女性〜以後はママと表記する)と次女・香那《かな》(14歳・旧制中学2年)と三女・恵那《えな》(13歳・旧制中学1年)の4人である。
この時、ママは胎内《なか》に私・コリントイワマツヨシタカグラマシーを宿していた。
ママは、妊娠7ヶ月目であった。
話は変わって…
この日は、東京で海運会社を営んでいる才之原《さいのはら》の家のご家族4人がお越しになる予定であった。
才之原《さいのはら》の家のご家族は、ご主人(56歳)と奥さま(55歳)と長男(26歳・商社マン)と次男(17歳・旧制中学5年)の4人であった。
和義《かずよし》と沙知代《さちよ》は、ママの胎内《なか》にいる私を父親のいない子にさせたくない気持ちでいっぱいであった。
きょうこの胎内《なか》にいる赤ちゃんを父親のいない子にさせたくない…
そのためには、才之原《さいのはら》のご長男と結婚させないと…
(ガラッ…)
この時であった。
むらさきの着物姿の仲居さんがゆっくりとふすまをあけた。
仲居さんは『先方さまがご到着しました。』とお声がけした。
その後、才之原《さいのはら》の家のご家族4人が部屋に入った。
沙知代《さちよ》は、才之原《さいのはら》のご夫婦にやさしくお声がけした。
「才之原《さいのはら》さま。」
「ああ、これはこれは…城島《きじま》の家のみなさま、おまたせしました。」
初対面のごあいさつのあと、両家の家族たちが対面状態で話し合いをした。
「才之原《さいのはら》さま。」
「あっ、はい。」
「秀祝《ひでのり》さんは、来年(旧制の)中学を卒業なさいますね。」
「あっ、はい…卒業後はヒトツバシ(大学)へ進学するための準備に入る予定です。」
「そうですか…ご主人さまもヒトツバシのご卒業でしたね。」
「ええ、うちの男子はみな一流大学卒で一流のお仕事についているのですよ…ねえあなた〜」
…………
才之原《さいのはら》の奥さまは、じまんげな声でペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ…としゃべりまくった。
それから20分後に、奥さまはものすごく言いにくい声で沙知代《さちよ》に言うた。
「あの〜…城島《きじま》の奥さま〜」
「はい、なんでしょうか?」
「たいへん言いにくいお話しでございますが…城島《きじま》さん方のキンリンに…トシゴロのムスメさんは…いらっしゃるでしょうか?」
沙知代《さちよ》は、ものすごくコンワクした声で言うた。
「えっ?うちの近くにトシゴロのムスメさんはいますか?…ですね。」
才之原《さいのはら》の奥さまは、ものすごく言いにくい声で沙知代《さちよ》に言うた。
「ああ、もし近くにいられたらでいいですよ。」
「ええ。」
「うちの洋祝《ひろのり》は、これまでに200回お見合いをしているけれど、全部お断りがつづいているのよ〜」
「あらどうして?洋祝《ひろのり》さんは、ハンサムなお顔でお仕事ができる人なのに…」
「そりゃそうですけど…洋祝《ひろのり》は、持って来てくださったお見合いが気に入らないと言うてお断りばかりしているのよ~…ほんとうに困った子よ。」
「奥さま、洋祝《ひろのり》さんはどう言った女性《おあいて》をのぞまれているのですか?」
「それはもう…お家柄のいいお嬢さまですよ…だけど、洋祝《ひろのり》の身の丈に合う女性《おあいて》が近くにいないのよ。」
「困ったわね。」
「そこで、お顔の広い城島《きじま》のご夫婦に洋祝《ひろのり》の花嫁《おあいて》探しをお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?」
才之原《さいのはら》の奥さまの言葉を聞いた沙知代《さちよ》は、おおらかな表情で『任せてください。』と答えた。
この時、まだママに縁談《ハナシ》は来なかった。
その翌日(8月5日)の午後1時過ぎであった。
ところ変わって、今治市松本町にある大型和風建築の家にて…
家は、城島《きじま》の家の家族5人と女中さんの合わせて6人が暮らしていた。
沙知代《さちよ》は、朝から電話をかけていた。
才之原《さいのはら》の奥さまから長男の花嫁《おあいて》さがしを頼まれた沙知代《さちよ》は、あちらこちらの家に電話をかけていた。
しかし、おことわりの返事ばかりがつづいたので沙知代《さちよ》はものすごく困っていた。
「えっ?おことわりしますって…才之原《さいのはら》の家のご長男さんは、ハンサムでお仕事ができるいい人なんですよ…一流大学卒で一流企業に勤務なされているのですよ…年収は2000円(今の金額で1200万円)ですよ…花嫁《およめ》さんを十分にやしなえる金額ですよ…そうですか分かりました…それじゃあ、ご主人さまによろしくお伝えくださいませ…」
(ガチャ…)
沙知代《さちよ》は、大きくため息をつきながら受話器を置いた。
その後、和義《かずよし》がいる大広間に行った。
ところ変わって、大広間にて…
大広間にいる和義《かずよし》は、読みかけの新聞をテーブルの上に置いたあと大広間に入った沙知代《さちよ》に声をかけた。
「どうだった?」
「(△△さん)カタの家もだめだったわ。」
「なんで?」
「(△△さん)カタのご夫婦は、ムスメの結婚相手《おあいて》は近くで暮らしている人じゃないとだめと言うたのよ。」
「それは困ったな…」
「あなたどうします。」
「どうしますって?」
「うちは、もっと深刻な問題を抱えているのよ。」
「そんなことは分かってるよ…きょうこの縁談《ハナシ》はまだだと言うことだろ!!…そのうち、きょうこを迎えに来る白馬の王子さまがやって来るよ!!」
「そんなのんきなことを言わないでください!!」
「なんで急に怒るのだよ!!」
「あなた!!きょうこは今年の11月頃に出産予定日を迎えるのよ!!」
「そんなことは分かっているよ!!」
「分かっているのだったら動いてよ!!」
このあと、沙知代《さちよ》と和義《かずよし》は怒鳴り合いの大ゲンカを繰り広げた。
その頃であった。
ママは、自分の部屋でゆっくりと過ごしていた。
ママは、胎内《なか》にいる私に声をかけた。
「よーくん…またジイジとバアバが大ゲンカを起こしたわよ…困ったわね…」
またかいな…
それよりもママ…
私は…
カナダに帰りたいけど…
いつになったら帰ることができるのだよ…