大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)
第11話・恋一夜

【あゝそれなのに】

(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー!!)

時は、2000年7月24日の午後1時過ぎであった。

またところ変わって、松山市食場町《じきばまち》にある斎場《やきば》にて…

斎場《やきば》の駐車場に停まっているニッサンスカイラインの愛媛県警《けんけい》のパトカーがけたたましいサイレンを鳴らしていた。

その付近に銃弾がたくさん撃ち込まれた濃いネイビーのトヨタハイエースワゴンが停まっていた。

問題の自動車《くるま》にゆりこを連れ去った犯人グループが乗っていた。

ゆりこを連れ去った犯人グループたち全員は、警察との間で繰り広げられた銃撃戦で死亡した。

銃撃戦は、近くにある斎場《やきば》の建物にも及んだ。

建物の中にいた犯人グループたちは、生き残ったひとりがケーサツに逮捕された。

残りの男たちは何人いたか分からないが、全員死亡した。

斎場《やきば》は、事件が発生した影響で少なくとも2〜3日の間は閉鎖となった。

(ドカッ!!ドカッ!!ドカッ!!)

生き残った犯人の男が警官たちから集団リンチを喰らったあと硬い棒でボコボコに殴られた。

その一方で、120人の警官たちが斎場《やきば》の建物にいた。

警官たちは、クロロホルムレイプの被害を受けたゆりこが入っている棺おけを探していた。

(ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン…キーッ!!)

この時であった。

斎場《やきば》の駐車場に黒のトヨタカリーナの覆面パトカーがサイレンを鳴らしながら敷地内に入ったあと停車した。

後ろのトビラがひらいたあと、乗っていたてつろうが車から降りた。

車から降りたてつろうは、警察官に声をかけた。

「すみません!!」
「ああ、蔵本ゆりこさんのご家族の方ですか?」
「私は、大学時代の友人です。」

この時であった。

棺おけを探していた警官たちのひとりが叫び声をあげながらやって来た。

「課長!!棺おけを発見しました!!」
「分かった!!すぐに棺おけを外へ運び出せ!!」
「はっ!!」

それから40分後であった。

ゆりこが入っている棺おけが建物の中から運び出された。

(ギイギイ…)

警官たちは、大きなバールを使って棺おけをこじ開けた。

それから10分後であった。

警官たちは、棺おけのフタをこじ開けたあと中にいたゆりこを救助した。

ゆりこは、全裸《はだか》で身体がドロドロに汚れていた。

ゆりこの顔は、ブクブクに腫れていた。

変わり果てたゆりこを見たてつろうは、顔をふせた状態で激しく泣いた。

「ワーッ!!」

ゆりこ…

ゆりこごめん…

許してくれ…

その一方で、大量のクロロホルムを吸い込んだあと意識不明におちいったゆりこは、夢を見ていた。

時は、1980年の7月はじめ頃の朝早くだった。

ところ変わって、京田辺市《きょうたなべ》にあった特大和風建築のシャクヤにて…

ゆりこは、小学3年生からこの家で家族たちと一緒に暮らしていた。

ゆりこはこの時、忘れ物やものをなくすなど…あやまちを繰り返すようになった。

場所は、家の玄関にて…

家の玄関に、当時高校生だった三兄《あに》がいた。

三兄《あに》は、ゆりこが来ないことに対して激しいイライラを募らせた。

原因は、ゆりこが使っていたスイトウがなくなったことであった。

三兄《あに》がものすごく怒った声で『早くガッコーにいきてーんだよ!!』と言うた。

この時、豊の最初の妻のメイゴがあわてた様子で玄関にやって来たあと『ごめんなさい!!』と言うた。

「ごめんなさい〜」
「オラ!!いつまで人を満たすのだ!?」
「ごめんなさい〜…ゆりこちゃんがスイトウをなくしたので困っているのよ~…」
「もう待てない!!行く!!」

三兄《あに》は、ものすごく怒った表情で家から出ようとした。

この時、豊の最初の妻のメイゴがゆりこの三兄《あに》を止めた。

「待って!!」
「なんで止めるのだ!?」
「ゆりこちゃんも一緒に連れて行ってよ〜」
「なんでゆりこを連れて行かなきゃいかんのや!?」
「ゆりこちゃんはお兄ちゃんと一緒にガッコーへ行きたいと言うてるのよ!!待ってあげてよ!!」
「行かせろ!!」
「ゆりこちゃんを連れて行ってよ!!」

ゆりこの三兄《あに》と豊の最初の妻のメイゴは、より激しい口調で怒鳴り声をあげた。

ところ変わって、ゆりこが使っている部屋にて…

「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…スイトウがないよ…スイトウがないよ…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」

豊の最初の妻は、より激しい怒りをゆりこにぶつけながら言うた。

「ゆりこ!!おかーちゃんはゆりこに対してわかるまで言うたのよ!!大事なものをなくさないでと言うたのに、なんで言う事を聞かないのよ!?」

豊の最初の妻に怒鳴られたゆりこは『えーんえーんえーんえーんえーん…』と泣き出した。

そこへ、豊の最初の妻のメイゴがやって来た。

「おばさま!!」
「なんやねん!!」
「アタシ今からおとなりの家に行ってスイトウ借りてきます!!」
「急ぎなさい!!」

豊の最初の妻のメイゴは、大急ぎでとなりの家へ向かった。

またところ変わって、おとなりの家の勝手口にて…

豊の最初の妻のメイゴは、ひどくおたついた様子で奥さまを待っていた。

この時、おふるのスイトウを持っている奥さまが勝手口にやって来た。

「おまたせしました…これでいいですか?」
「すみません、ありがとうございました…終わったら返します〜」
「返すのはいつでもいいのよ〜…」
「あの、すぐに飲みものを作ってください〜」
「今から作るね~」

奥さまは冷蔵庫の中から冷たい麦茶が入っているプラスティックの入れものを出した。

この時、麦茶が少ししかなかった。

「たいへん、麦茶がないわ〜」
「こおりみずでもいいから飲みものを作ってください!!」
「分かったわよ…」
「こおりを入れたあと水道水を入れたものでいいのですぐに作ってください!!」
「分かってるわよ…でも、水道水よりも…天然水の方が…」
「もういいです!!うちで作ります!!」

豊の最初の妻のメイゴは、スイトウを持って勝手口から出たあと急いで家に戻った。

ところ変わって、家の台所にて…

(カランカランカランカランカランカラン…)

豊の最初の妻のメイゴは、大急ぎで飲みものを作っていた。

豊の最初の妻のメイゴは、冷蔵庫に保管されていたこおりをスイトウに入れたあと麦茶を入れた。

この時であった。

「たいへん!!ゆりこちゃんどうしたのよ!?」

豊の最初の妻の叫び声を聞いたメイゴは、大急ぎで部屋に向かった。

またところ変わって、ゆりこが使っている部屋にて…

ゆりこが着ていたピンク色のミニスカートがグチョグチョに濡れていた。

「ワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーン…」

ゆりこは、激しい声を上げながら泣いていた。

この時、ゆりこが大容量の失禁を起こしたあと40度超の高熱を出した。

「ゆりこちゃんどうしたの!?ゆりこちゃん!!」

豊の最初の妻のメイゴは、大容量の失禁を起こしたゆりこに対して何度も呼びかけた。

このあと、ゆりこは病院にかつぎこまれた。

診断の結果、ゆりこはボウコウガンにリカンしていたことが判明した。

症状は、初期の段階であったのですぐに治療を始めた。

……………

時はうんと流れて…

2000年7月26日頃であった。

ゆりこは、尾鷲市《なんきおわせ》にあるてつろうの実家の8畳の部屋に敷かれているふとんの中で目覚めた。

あれ…

ここはどこ?

ゆりこは…

砥部断層にいた…

よね…

ゆりこは、クロロホルムを受けたことによる症状が原因で心身ともにうつろであった。

砥部断層で気絶したあとてつろうの実家で目覚めるまでの間、なにがあったのか…

分からない…
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