大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【涙色】

時は、夕方4時頃であった。

またところ変わって、四国中央市妻鳥町《めんどりちょう》にあるセルフうどん屋のチュウボウの裏口にて…

この日、比佐志《ひさし》さんは午後3時半頃まで食器洗いのお仕事をしていた。

お仕事を終えた比佐志《ひさし》さんは、ベンチに座って休憩をしていた。

そんな時であった。

40代の女性従業員さんが比佐志《ひさし》さんのもとにやって来た。

女性従業員さんは、ややつかれた表情で比佐志《ひさし》さんに言うた。

「あんた〜」
「はい。」
「あんた年齢《とし》いくつ?」
「40過ぎですが…」
「40過ぎね。」
「はい。」

女性従業員さんは、ツンケンとした声で比佐志《ひさし》さんに言うた。

「あんた、妻子《かぞく》はいるの?」
「えっ?」
「妻子《かぞく》はいるの…って聞いてんのよ!!」

比佐志《ひさし》さんは、つかれた表情で『いますけど…』と答えた。

女性従業員さんは、ツンケンとした声で比佐志《ひさし》さんに言うた。

「いますけど…そのあとはなによ!?」

比佐志《ひさし》さんは、ものすごく困った表情で答えた。

「理由《わけ》あって…別居中です。」

女性従業員さんは、ツンケンとした声で比佐志《ひさし》さんに言うた。

「なんで別居してんのよ!?」

比佐志《ひさし》さんは、困った表情で答えた。

「ちょっと…あることで…もめたのです。」

女性従業員さんは、ツンケンとした声で比佐志《ひさし》さんに言うた。

「あることでもめた?」
「はい。」

比佐志《ひさし》さんは、ものすごく言いにくい表情で女性従業員さんに言うた。

「妻に…好きな男がいたのです。」
「男がいた?」
「はい…妻が在籍していた大学にリューガクしていたウクライナ人の男性です。」
「奥さまは、その男性と結婚することを考えていたのね。」
「はい。」
「その後、実際に現地で暮らしていたのね。」
「はい。」
「それじゃあ、奥さまはなんであんたと結婚したのよ?」
「彼が…(ウクライナ)東部で発生した内戦で戦っていた時に戦死しました…この時…妻の胎内《なか》に…赤ちゃんがいたのです…妻は…おじの紹介で出会いました…ぼくはその時…妻と結婚することは考えていなかったのです…だけどおじが『たまよさんの胎内《なか》にいる赤ちゃんに父親がいなかったらなにもかもが不利になるのだよ…赤ちゃんの人生が狂ってしまうのだよ…』…とあつかましく言われました。」
「だからしかたなく結婚したのね。」
「はい。」
「それで、あんたはどうしたいのよ!?」
「リコンするつもりでいますけど…」
「リコンを考えてるのね〜」
「はい。」
「それならリコンしたらいいじゃない。」

女性従業員さんは、ツンケンとした声で比佐志《ひさし》さんに言うた。

「あんたの話はよくわかったわよ〜」

女性従業員さんは、ツンケンとした表情で裏口のドアをあけたあとチュウボウへ入った。

……………………

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