大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【悲しき願い】

時は、夕方4時半頃であった。

またところ変わって、いよてつ高島屋の7階にあるそば吉《きち》(そば屋)にて…

イワマツグループのA班のメンバーたち13人とドナ姐《ねえ》はんと三浦工業《みうら》・ダイキン工業の本社のスタッフさんたち20人と松山市内《しない》の建設会社・水道工事会社・左官屋さん・タイルやさんのスタッフさんたちは、各席に座っていた。

テーブルの上には、緑茶が入っている砥部焼のゆのみが並んでいた。

この時、まだ料理を注文していなかった。

美保さんが電話の応対をしているので、料理を注文することができなかった。

美保さんがいれば、今ごろ焼きたてのじゃこ天をさかなにビールをのんでいた。

私たち一行は、ものすごく困った表情を浮かべながらつぶやいた。

美保さんは、どこへ電話をかけているのか…

みなさまがお待ちになっているのに…

困りますよ…

この時、ウェンビンさんは秀悟《しゅうご》さんに対して困った表情で言うた。

「秀悟《しゅうご》さん。」
「はい。」
「美保さんを呼んで来てください。」
「分かりました。」

このあと、秀悟《しゅうご》さんは美保さんを呼びに外へ出た。

またところ変わって、エレベーターホール付近にて…

美保さんは、緑の公衆電話のコーナーにいた。

緑の公衆電話機は、館内にある案内所の電話機を経由する形で相手方とつながる形式になっていた。

電話は、新宮市《なんきしんぐう》の比江島家からかかっていた。

電話をかけたのは美羽《みう》であった。

美羽《みう》は、温夫《はるお》が智太郎《ともたろう》と佐和子と恒夫《つねお》のおいごに暴力をふるって暴れた末に智太郎《ともたろう》と佐和子に婚姻届《ショメン》にショメイナツインさせたあと家から飛び出したことを伝えたあと美保さんに対して今すぐに帰ってきてほしいと求めた。

これに対して美保さんは、ものすごく怒った声で受話器ごしにいる美羽《みう》を怒鳴りつけた。

「もしもしあんた!!よくもうちに言いがかりをつけたわね!!もう一度言いなさいよ!!さっき言うた言葉をもう一度言いなさいよ!!」

またところ変わって、比江島家の広間にて…

広間には、智太郎《ともたろう》と佐和子と恒夫《つねお》と小夜子《さよこ》と宗隆《むねたか》と美羽《みう》がいた。

美羽《みう》は、ものすごく困った表情で受話器ごしにいる美保さんに言うた。

「もしもし美保さん、義父母《おとうさまとおかあさま》がものすごく困っているのよ…温夫《はるお》さんが新しくできたカノジョと結婚すると決意したと言うたあとおじさまとおばさまと(恒夫のおいご)くんを殴りつけたのよ!!…その後、おじさまとおばさまに対して婚姻届《ショメン》の保証人の欄にショメイナツインしろとキョーハクして書かせたのよ!!…美保さん、話を聞いてますか!?」

美保さんは、ものすごく怒った声で受話器ごしにいる美羽《みう》を怒鳴りつけた。

「ますますいらつくわね!!あのね!!うちはいま仕事中よ!!仕事中に私用の電話をしないでと言うたでしょ!!どうして私用の電話をかけたのよ!?」

美羽《みう》は、ものすごく泣きそうな声で受話器ごしにいる美保さんに言うた。

「美保さん!!義父母《おとうさまとおかあさま》が困っているのよ!!」
「困っているからどうしてほしいのよ!?」
「困っているから帰って来てほしいと言うてるのよ!!」
「ふざけるな!!もう怒ったわよ!!」

ところ変わって、いよてつ高島屋にて…

電話の応対をしている美保さんは、ものすごく怒った声で受話器ごしにいる美羽《みう》を怒鳴りつけた。

「あんたはいつから人を上から目線で言うようになったのよ!?…そう言うあんたはなによ!?恋愛経験がないのに人の家の問題に口出しするな!!」

この時、敬幸《たかゆき》さんが困った表情で美保さんのもとにやって来た。

敬幸《たかゆき》さんは、美保さんに対して困った表情で言うた。

「吉藤先生、吉藤先生〜」
「ちょっと待ってよ…なによ〜」
「みなさまがお待ちですよ〜」
「分かってるわよ〜…もうすぐ終わるから待ってよ〜」
「困りますよ〜」
「今、親類の子がうちに『帰れ帰れ…』と言うから困っているのよ〜」

ものすごく困った表情を浮かべている敬幸さんは、このあとそば吉《きち》へ戻った。

美保さんは、受話器ごしにいる美羽《みう》に対してよりし烈な力をこめながら怒鳴りつけた。

「あんたはどこのどこまでうちをグロウする気よ!!うちは吉藤の家の嫁をやめた女よ!!やかましいわね!!えらそうな口調でものを言うな!!」
「美保さん、なんでひどいことを言うのですか!?」
「ますますいらつくわねもう!!うちはおこづかい程度しか稼ぐことができないボロダンナと結婚したから大失敗したのよ!!」
「美保さん!!どうしてダンナさんに対してひどいことを言うのですか!?美保さんがそのように言うのであれば、ダンナさんの給与明細《メイサイ》を見たらどうですか!?」
「やかましい!!命令口調で言うな!!」
「美保さん、ダンナさんのお給料は7万円だけど基本給は…」
「信用できないわよ!!」
「美保さん!!」
「よくもうちにいちゃもんつけたわね!!」
「美保さん!!7万円は手取の金額ですよ!!差し引き分のうち4割は…」
「作り話をするな!!」
「作り話じゃないのですよ!!」
「作り話をするなと言うたら作り話をするな!!」
「それじゃあ、どう説明すればいいのですか!?」
「うちはダンナがおこづかい程度しか稼ぐことができないから不足分をうちが稼いでいるのよ!!」
「それはよく分かっています…だけど、7万円は手取の金額ですよ!!」
「だまれ!!」
「美保さん!!」
「だまれと言うたらだまれ!!」
「美保さん!!ダンナさんのお給料は手取りの金額と4割プラス2割イコール…」
「やかましい!!だまれ!!」

そこへ、ウェンビンさんが美保さんのもとにやって来た。

ものすごく怒った表情を浮かべているウェンビンさんは、受話器を取り上げたあと受話器ごしにいる美羽《みう》に対してこう言うた。

「もしもし、おたくはどちらさまでございますか!?…すみませんけど、これ以上うちのスタッフさんをコウソクしないでください!!」

美羽《みう》は、泣きそうな声で受話器ごしにいるウェンビンさんに言うた。

「もしもし、私たちはものすごく困っているのよ!!美保さんに帰って来てほしいと頼んでいるのよ!!」

(ガチャーン!!)

この時であった。

思い切りブチ切れた小夜子が右足で電話台をけとばした。

そのはずみで、電話機が壊れた。

小夜子《さよこ》は、怒った声で美羽《みう》に言うた。

「もうやめて!!」
「小夜子おばさま!!」
「美保さんは、吉藤《うち》の嫁をやめたと言うてるのよ!!」
「それじゃあ、宗隆《むねたか》さんはどうなるのよ!?」
「知らないわよ!!」

この時、恒夫《つねお》がものすごく怒った声で『もうええ!!』と言うたあと、いらついた声で言うた。

「美保さんは、わしらのことがキライなんだよ!!吉藤《うち》に嫁いだことに対してより強い不満があるのだよ!!」
「あなた!!」
「オドレこそなんや!!吉藤《うち》の嫁はひとりで十分と言うたことが原因で衛二《ちょうなん》の婚期が逃げたと言うことが分からないのか!?」
「あなた!!」

このあと、恒夫と小夜子は怒鳴り声をあげながら大ゲンカを繰り広げた。

………………

その頃であった。

温夫《はるお》は、新しくできた女と一緒に北陸の東尋坊《とうじんぼう》へ行った。

ふたりは、到着してから数分後に現地で行方不明になった。

ふたりが所持していた小物類が岩場におかれた状態になっていた。

この時、海は大しけであった。

温夫《はるお》と女は、大しけの海に沈んだと思う…
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