大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【悲しき恋人たち】

時は、1月15日の午前10時50分頃であった。

またところ変わって、松山市堀江町の三浦工業《みうら》の社屋の中にある会議室にて…

会議室にイワマツグループのA班のメンバーたち14人とドナ姐《ねえ》はんと三浦工業《みうら》とダイキン工業の本社のスタッフさんたちが集まっていた。

この日は、(日本を除く)海外各地と沖縄県にある住まい・オフィスビル・工場・店舗・ラグジュアリーリゾート…に設置されているボイラー機器と空調機器を新機種に取り替える工事の打ち合わせをしていた。

(ビーッ、ビーッ、ビーッ、ビーッ、ビーッ…)

この時であった。

会議室に設置されているグレーの電話機の着信音が激しく鳴り響いた。

三浦工業《みうら》の本社の男性スタッフさんのひとりが受話器をあげて話した。

「はい会議室!!…受付!?…いまは会議中だぞ!!…なに!?…新宮市から電話だと…会議中にくだらない電話をするなと言うて切れ!!…なに…電話をかけていたモンが困っているだと!?…やかましい!!」

(ガチャーン!!)

思い切りブチ切れた男性スタッフさんは、受話器をガチャーンと置いたあとひどくいらついた。

「…ったくも!!」

それからまた2分後であった。

(ガチャ…)

受付の女性が会議室のドアをひらいたあと中にはいった。

「すみません〜」
「なんだ!?」
「あの…吉藤美保さんのご家族から電話がかかっていますが…」
「今は会議室だぞ!!」
「ご家族の方が困っているのです〜」
「やかましい!!会議中に電話をかけてくるなと言うておけ!!」
「吉藤さんのダンナさんのご両親が『さみしいさみしい…』と言うてるのです!!」

キーッ!!なんなのよ一体もう!!

思い切りブチ切れた美保さんは『行ってくるわ!!』と言うたあと会議室から出た。

またところ変わって、新宮市《なんきしんぐう》の比江島家の広間にて…

となりの大広間に恒夫《つねお》・小夜子《さよこ》・宗隆《むねたか》の3人と佐和子と智太郎《ともたろう》がいた。

この時、部屋の中に新宮市の消防本部の救急隊員たち20人がいた。

佐和子が突然意識を失って倒れた。

智太郎《ともたろう》は、ひどくおたついた表情で佐和子を呼んでいた。

美羽《みう》は、受話器ごしにいる美保さんに対して泣きそうな声で呼びかけた。

「もしもし美保さん!!今すぐにお帰りくださいませ!!不測の事態が発生しました!!」

三浦工業《みうら》の本社のエントランスホールにある緑の公衆電話のコーナーにて…

緑の公衆電話機は、受付の電話機経由で外部とつながる仕様になっていた。

美保さんは、ものすごく怒った表情で受話器ごしにいる美羽《みう》を怒鳴りつけた。

「やかましいわねあんたは!!うちはいま仕事中よ!!仕事中に私用電話をしないでと言うたのに、なんでかけてきたのよ!?」

美羽《みう》は、泣きそうな声で受話器ごしにいる美保さんに言うた。

「佐和子おばさんがくも膜下出血を起こして倒れたのよ!!もしもし聞いてるの!?」

思い切りブチ切れた美保さんは、よりし烈な怒りをこめながら美羽《みう》を怒鳴りつけた。

「やかましいわねあんたは!!松山市《ここ》から新宮まで何百キロあると思っているのよ!?いまから行けなんて無理よ!!うちは吉藤の家の嫁をやめた女よ!!嫁をやめた女になにを求めてもムダよ!!」

美羽《みう》は、泣き叫ぶ声で言うた。

「美保さん!!私たちは助けを求めているのよ!!佐和子おばさまが生命の危機にひんしているのよ!!義母《おかあ》さまがたよりにしていたお姉さまがいなくなったら、ほかに頼るひとがいないのよ!!」
「やかましい!!よくもうちにいちゃもんつけたわね!!うちは吉藤《あんたら》の家を一生恨みとおすわよ!!」

(ガチャーン!!)

思い切りブチ切れた美保さんは、受話器をガチャーンと切ったあとキーッと怒り狂った。

この時であった。

くも膜下出血で倒れた佐和子は、呼吸が止まった。

それを聞いた智太郎《ともたろう》はワーワーさけびながら暴れたあと外へ飛び出した。

そして…

(キーッ!!ドスン!!キキキキキキキキキキキキキキキキ!!グォーン!!)

智太郎《ともたろう》は、家から200メートル先にある交差点でひき逃げ事故に遭って亡くなった。

智太郎《ともたろう》をはねた車は、その場から逃走した。

そのまた一方であった。

(ガシャーン!!ガシャーン!!)

「オドレら出てこい!!」
「金返せ!!」

場所は、才之原家にて…

家の前にヤクザの男たち数人がいた。

ヤクザの男たちは、小太郎が5000万円の借金をしていた上に組長の情婦《おんな》に手を出していたことに対してよりし烈な怒りを募らせていた。

家の中にいる小太郎の実家の家族たちは、家の中でおびえまくった。

時は、夕方5時頃であった。

またところ変わって、那智勝浦《かつうら》の中心地にある大型病院にて…

りりかが個室病棟《びょうしつ》のベッドの上でめざめた。

ベッドのまわりに真《まこと》とりりことりりかの伯母・仁志元《にしもと》かつよと伯父・みつおがいた。

かつよは、りりこの姉にあたる人である。

かつよは、やさしい声でりりかに言うた。

「りりちゃん…りりちゃん。」
「その声は…伯母《おば》さま〜」
「そうよ…りりちゃん、めざめたのね。」
「あっ、うん…」

りりかは、りりこから小太郎が大阪市天王寺区《てんのうじ》のラブボで女に殺されて亡くなった…その前に小太郎が加害者の女性を犯して傷つけたこと…そして、才之原家《こたろうのじっか》の人間が悪いこと…とくに女性がらみの揉め事を起こしていたことと小太郎の親きょうだいたちが自殺したこと…を聞いた。

そのまた上に、温夫《はるお》が東尋坊で女と入水したことを聞いた。

話を聞いたりりかは、ぐすんぐすんと泣きじゃくった。

かつよは、りりかの肩を抱きながらやさしく言うた。

「りりちゃん…もういいのよ…りりちゃんはなにも悪くないのよ…いまのりりちゃんは心身ともにつかれているだけよ…結婚だけが人生じゃないわよ…」

りりかは、ぐすんぐすんと泣いていた。

りりこと真《まこと》は、今回の一件で家族にもうしわけないことをしたと感じたので新宮市から出てかつよ夫婦が暮らしている県外へ移住することを決意した。

りりか…

ごめんね…

ごめんね…

……………
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