大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【別涙(わかれ)】

時は、10月1日の朝7時頃であった。

ホテルのベッドで寝ていた私は、急に目覚めた。

「はっ…もう朝…あれ…ドナ姐《ねえ》はん…ドナ姐《ねえ》はん!!」

私は、部屋の周りを見渡しながらドナ姐《ねえ》はんを呼んだ。

「ドナ姐《ねえ》はん!!ドナ姐《ねえ》はん!!」

大変だ…

ドナ姐《ねえ》はんがいなくなった…

一体、どこへ行ったのだ!?

この時であった。

デスクの上にパンパンに詰まった茶封筒が置かれていたのを見た。

茶封筒の表面には『よーくんへ…』と書かれていた。

私は、封筒を手に取ったあと封筒の中身を見た。

封筒の中には、万札《だい》500枚が入っていた。

万札《だい》500枚と一緒に手紙が入っていた。

手紙は、ドナ姐《ねえ》はん直筆のメッセージがしるされていた。

よーくんごめんね…

ドナは…

大番頭《おおばんと》はんたちを見つけるために旅に出ます…

よーくん…

大番頭《おおばんと》はんたちが見つかるまでのあいだ…

待っていてね…

ドナが帰って来るまでのあいだ…

どうにか持ちこたえてね…

ドナ…

………………………

ドナ姐《ねえ》はん…

いくらなんでも勝手すぎるよ…

なにが『ドナが帰って来るまでのあいだどうにか持ちこたえてね…』だ…

ふざけるな!!

………………………

時は、朝8時40分頃であった。

またところ変わって、国鉄川之江駅の待合室にて…

私は、行商を終えたあと帰宅する準備をしていた農婦さんと話をしていた。

この時、農婦さんはドナ姐《ねえ》はんを見たと私に言うた。

私は、おどろいた声で言うた。

「ええ!!ドナ姐《ねえ》はんをみたのですか!?」
「ええ。」
「ドナ姐《ねえ》はんは何時頃にここに来たのですか!?」
「うちがここに来たのは6時半だったかしら…おにいさんがさがしている韓国人の女性がここに来たのはそれから20分後だったと思うけど…」
「6時50分頃…それで、ドナ姐《ねえ》はんはどちらに乗られたのですか!?」
「どちらって?」
「汽車かバスのどちらかです!!」
「さあ、そこまでは聞いてないけど…ああ、思い出したわ…その韓国人の女性はバス乗り場にいたわよ。」
「バス乗り場…ってことは、ドナ姐《ねえ》はんは国鉄バスに乗って阿波池田《いけだ》へ向かった…と言うことですね。」

農婦さんは、言いにくい声で『たぶんそうだと思うけど…』と答えた。

私は、左腕につけているロレックスの腕時計を見ながら言うた。

「8時40分…次の阿波池田行《いけだい》きのバスは9時5分だ…(農婦さんに向かってあいさつをする)すみません…どうもありがとうございました。」

私は、農婦さんにあいさつをしたあと再び旅に出た。

(ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ…)

時は、朝9時半頃であった。

私は、国鉄バスに乗って阿波池田駅へ向かった。

バスは、国道192号線を通って県境《さかいめ》トンネルへ向かった。

バスの車内にて…

私は、スーパーマップル(昭文社)の四国地方の道路地図の所定のページをひらいたあと赤のラッションペンを使って通過したバス停に印をつけていた。

………………………

朝10時45分頃であった。

バスが阿波池田駅の前にあるバス乗り場に到着した。

ショルダーバッグを持ってバスから降りた私は、駅の待合室に入った。

またところ変わって、阿波池田駅の待合室にて…

私は、ベンチの上にスーパーマップルの四国地方の道路地図の所定のページをひらいたあと万年筆を使って川之江駅からここまでのルートを書き込んだ。

書き込みをしている私は、困った表情でつぶやいた。

ドナ姐《ねえ》はんは…

一体どこへ行ったのだ…

私にひとことも言わずにだまって出ていくなんて…

悲しいよ…

…………………………
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