大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【オゝ神様】

時は、夜10時過ぎであった。

三紗《みさ》が暮らしている部屋は真っ暗であった。

三紗《みさ》は、夜のおつとめに行った。

部屋にいるのは太兵衛《たべえ》ひとりだけであった。

太兵衛《たべえ》は、ぼんやりとした表情で天井を見つめながら考え事をしていた。

太兵衛《たべえ》は、ものすごくつらそうな表情でつぶやいた。

ワシは…

家族のきずなを取り戻すために…

一生懸命になってがんばったのに…

なんでみんなは…

わしのことを否定したのか…

もうイヤだ…

…………………

ものすごく悲しくなった太兵衛《たべえ》は、2年前によしのたちによってむりやり福祉施設《しせつ》に押し込められたことを思い出した。

……………………

時は、1980年10月10日の朝8時頃であった。

またところ変わって、今治市宮ケ崎にある福祉施設《しせつ》にて…

太兵衛《たべえ》は、よしのとあずさと一緒に空き部屋にいた。

よしのは、荷解きをしたあと太兵衛《たべえ》が使っている品物をクローゼットに収納した。

太兵衛《たべえ》は、プンとひねくれていた。

あずさは、やさしい声で太兵衛《たべえ》に言うた。

「おじさま、きょうからはここが新しい住まいよ。」

太兵衛《たべえ》は、ひねた表情で言うた。

「フン、それがどうかしたのか!?」

あずさは、困った表情で太兵衛《たべえ》に言うた。

「おじさま、もと住んでいた家は住めなくなったのよ〜」
「やかましいだまれ!!おい、温大《はると》はどこへ行ったのだ!?」
「温大《はると》さんについては、あたしの友人に頼んでおいたから…」
「そんなことはどうでもいい!!温大《はると》はガッコー以外に行くところがない…と言うことがまだ分からないのだよ!!」
「温大《はると》さんがアメリカのハイスクールに転入するために仲介してくださる人が見つかったのよ〜」
「なんでいらないことをしたのだ!?」
「おじさま〜」
「おい!!ワシは帰るぞ!!」
「おじさま!!」
「どけ!!」

思い切りブチ切れた太兵衛《たべえ》は、平手打ちであずさの顔をたたいたあと部屋から飛び出した。

それからまた5分後であった。

「コラ!!ドロボー!!」

太兵衛《たべえ》は、食堂の勝手口に停まっていたダイハツハイゼットトラックに乗って逃走した。

………………………

福祉施設《しせつ》が大混乱におちいった時であった。

丹原町にあるあずさの実家で深刻な事態が発生した。

実家からの電話を受けたあずさは、大急ぎで実家へ帰った。
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