大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【砂の愛】

時は、夜8時半頃であった。

またところ変わって、大阪ミナミの千日前通りにて…

通りには、おおぜいの人たちが往来していた。

通りに面した店の看板の灯りとネオンサインがたくさん灯っていた。

ショルダーバッグを持ってあてもなく歩いていた私は、今夜の泊まる宿を探していた。

今夜の予想最低気温は1度だとラジオの天気予報で伝えられた…

大急ぎで宿を探そう…

野宿するのはイヤだ…

…………………………

そう思っていた時であった。

私は、とんでもない場所に足を踏み入れてしまった。

そこで私は、えげつないもめ事を聞いた。

場所は、味園《みその》ビルの裏の露地だったと思う。

私は、もめ事が発生した現場の200メートル手前にいた。

そこで私は、現場の様子を聞いた。

現場に美鈴と溝端屋の番頭《ばんと》はんがいた。

美鈴は、番頭《ばんと》はんに対して『例のものをよこせ!!』と怒った声で言うた。

「あんた教えてよ!!」
「だからなにを教えろと言うのだよ〜」
「なんとかじいさんが保有している超特大の財産の目録よ!!」

番頭《ばんと》はんは、しんどい声で美鈴に言い返した。

「おい、オレはうちへけえってねてえんだよ〜」
「そう言って逃げるのはひきょうよ!!」
「オレは逃げてねえよ〜」
「それなら教えてよ!!なんとかじいさんが保有している超特大の財産の目録はどこにあるのよ!?」

なんだって…

美鈴が…

イワマツの財産をほしがってる…

…って。

私は、声をあげそうになった。

番頭《ばんと》はんは、怒った声で美鈴に言うた。

「おいコラ!!オドレのその口はなんや!?」
「なによあんた!!言いがかりをつけてきたのはあんたの方よ!!」
「なんやコラ!!もういっぺん言ってみろ!!」
「ふざけるなクソバカ!!」
「バカとはなんや!!」
「バカをバカと言うたらいかんのか!?」
「おいコラクソアマ!!」
「なによバカあきんど!!」
「またバカと言うたな!!」
「うるさいわね!!アタシの大事な義弟《かぞく》を殺した分もふくめてオトシマエをつけてもらうわよ!!」
「なんやと!!わしにオトシマエをつけろだと!?」
「ええそうよ!!オトシマエは、なんとかと言うじいさんが持っている超特大の財産で払ってもらうわよ!!」

番頭《ばんと》はんは、ものすごく怒った声で美鈴に言うた。

「オドレはええ度胸してるな!!そう言うオドレはなんや!?」
「うるさいわね!!」
「おい、そのへらず口をたたくことができるのは今日までだと思え!!オドレもオドレでまた悪いことをたくさんしたやないかえ!!」

番頭《ばんと》はんは、美鈴に対してものすごく怒った声で言うた。

「あんたは、『オワリレディースローン』から3億5000万のローンを組んでいた…他にも超大口の借金がたーんとおましたな…総額は…98京円《けいえん》や!!そなな超大口の借金をどうやってけえすのだ!?」
「どうやって返すって…」
「おいオドレ!!わしは大和八木駅であんたが行きずりの男と一緒にいたところをみたのだぞ!!」
「なんで?」
「なんでと言われても知らんわ!!聞いた話しによると、オドレと一緒にいた男は、テレクラで知り合ったぜにもちの御曹司《ボンボン》だったな…あんたはその御曹司《ボンボン》にカネをゆうずうしてくれとたのもうとした…それで!!」
「やめて!!それ以上は言わないでよ!!」
「おい!!わしを怒らしたらどないなるんか分かっとんか!?」
「うるさいわねクソチンピラ!!」

(ドカッ!!ガツーン!!)

思い切りブチ切れた美鈴は、両手で番頭《ばんと》はんを突き飛ばしたあとハイヒールでけとばした。

美鈴から暴行を受けた番頭《ばんと》はんは、ものすごく怒った声で言うた。

「オドレええドキョーしてまんな!!あんたがしたことは長州組に宣戦布告したと言うことや!!」
「うるさいわね!!ぶっ殺してやる!!」

思い切りブチ切れた美鈴は、番頭《ばんと》はんに対して殴るけるの暴行を加えた。

こわい…

すごくこわい…

話を聞いた私は、ショルダーバッグを抱きかかえた状態で座り込んだあと震えまくった。

………………………

次の日の午後12時半頃であった。

またところ変わって、近鉄大和八木駅の正面玄関前にあるタクシー乗り場にて…

私は、広場に停まっているタクシーの運転手さんと話をしていた。

私は、パスケースに入っている美鈴の顔写真をみせた。

運転手さんは、私に対してこう答えた。

「間違いない、この女性《ひと》だったよ!!」
「そうでしたか…分かりました…あの…ちょっと待ってください!!」

私は、パスケースをショルダーバッグに収納したあとショルダーバッグの中からスーパーマップルの関西地方の道路地図を取り出した。

私は、所定のページをひらいたあと運転手さんに言うた。

「運転手さん!!」
「はい。」
「運転手さんは、鶴保美鈴さんとツレの男を乗せたあとどちらへ向かったのですか!?」
「たしかね…」

運転手さんは、地図をみながら私に説明した。

最終目的地は、吉野郡の山奥にあるダム湖だと言うた。

「こちらです。」
「えーと…吉野郡川上村…なんでこんなところまで行ったのですか!?」
「なんでって、ふたりは…コウヨウがみたいと言うてましたけど…」
「コウヨウがみたいから?」
「ええ、ふたりはそう言ってました。」

意味が分からん…

………………………

またところ変わって、近鉄大和八木駅の待合室にて…

いすの上には、スーパーマップルの関西地方の道路地図がひらいた状態で置かれていた。

私は、売店で購入したパスコのこしあんパンを食べながら万年筆を使って地図上に書き込みをしながらつぶやいた。

あのふたりは、大和八木駅からタクシーに乗ったあと吉野郡の山奥にあるダム湖へ行った…

ふたりは…

コウヨウを見に行くためにダム湖へ行ったのじゃない…

考えられることはただひとつ…

鶴保美鈴は…

テレクラで知り合った御曹司《ボンボン》を殺して…

保険金《ゼニ》をえるためだった…

保険金《ゼニ》の使い道は言わなくてもわかる…

鶴保美鈴が借り入れたレディースローンを…

返済するためだ…

それしか考えはない…

…………………………

時は、夕方4時半頃であった。

またところ変わって、駅前広場にて…

ショルダーバッグを持って駅から出た私は、夕食を摂りに行くために商店街へ向かった。

この時であった。

(ピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピー…)

ズボンの右ポケットに入っているポケベルのベルが鳴った。

私は、ポケベルのディスプレイに表示されているメッセージを見た。

あれ…

高知…

高知からメッセージが来た?

まさか…

またところ変わって、駅から50歩先にあるたばこ屋にて…

私は、店の中にいるおばあちゃんに声をかけた。

「おばあちゃん!!電話を借りるよ!!」

(ガチャ…チャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリン…ジー…)

私は、カウンターに置かれている10円の赤電話機の受話機をあげたあと10円玉をたくさん入れた。

その後、ダイヤルをまわした。

(プルルルル…カチャ…)

電話がつながった。

受話機のスピーカーから女性の声が聞こえた。

「もしもし…ほたるです…」

声の主はほたるさんだった。

私は、受話機の向こうにいるほたるさんに声をかけた。

「もしもしほたるさん!!」
「その声はよーくんね。」
「はい、コリントでございます…ほたるさん!!今どちらにいるのですか!?」
「今、高知にいるのよ〜」
「高知…もしもし!!高知のどのあたりにいるのですか!?」
「よーくん…よーくんは今どこにいるの?」
「オレ、今から高知へ行きます!!ほたるさん!!私が到着するまで安全な場所にいてください!!お願いします!!」

(ガチャ!!ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ…)

受話機を置いたあと、返却口から10円玉がたくさん出た。

私は、返却口に出てきた10円玉を取り出したあとギュッと握りしめながらつぶやいた。

ほたるさん…

今から、ほたるさんに会いに行きます…

……………………

(ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ…)

それからまた2時間後であった。

私は、大和八木駅の近くでヒッチハイクした長距離トラックに乗って再び旅に出た。

トラックは、国道24号線から複数の道路を通って大阪市内へ出たあと国道43号線を通って西ノ宮港へ向かった。

西ノ宮港からは、甲子園フェリー〜国道28号線を通って福良港へ向かった。

福良港からは、鳴門亀浦港行きのフェリーに乗って四国へ渡った。

鳴門亀浦港に到着したあと、路線バスに乗って鳴門市内へ向かった。

国鉄鳴門駅に到着したのは、12月23日の夕方頃だった。

バスから降りた私は、鳴門駅から歩いて高松方面へ向かった。

高松駅に到着したのは、12月24日の朝5時半頃だった。

ほたるさん…

これから高知へ行きます…

私が到着するまでのあいだ…

安全な場所にいてください…

お願いします…
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