大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【川は泣いている】

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、朝7時半頃であった。

私は、国鉄高松駅から特急南風1号に乗って高知へ向かった。

窓に写る空は、灰色の雲におおわれていた。

列車の座席に座っている私は、キオスクで購入した志満秀えびせんべいをさかなに(清酒)西野金陵のワンカップをのんでいた。

きょうは…

クリスマスイブ…

若い人たちは、クリスマスの予定がどーのこーのと言うている時だな…

それなのに私は…

こんなところでなにをやっているのだ…

1年前(1981年)の夏に、突然放り出されたあと放浪生活に変わった…

あのまま、北米に居続けたら…

イワマツを作るプロジェクトを早く始めることができたのに…

………………………

ああ…

大失敗した…

…………………

またところ変わって、星空の世界にて…

星くずがたくさん流れている川のほとりに桜子たち(80億39人)と深眠の私がいた。

桜子たちは、ぐすんぐすんと泣きながら深眠の私の身体にキスをしていた。

みどりを抱っこしているアンナは、星くずがたくさん流れている川に入っていた。

アンナは、声をあげて泣いていた。

同時に、みどりも『オギャーオギャー!!』と泣いていた。

「ワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーン!!」
「オギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャー!!」
「ヤダー!!ヨシタカが死ぬのはヤダー!!ワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーン!!」

……………………

空の下の世界にて…

(ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…キーッ、プシュー…)

私が乗っている特急南風1号が高松駅を出発してから30分後であった。

列車は、多度津駅の4番乗り場(土讃本線の下りのホーム)に到着した。

この時、ザーザー降りの雨が降り出した。

列車に乗っている私は、キオスクで購入した駅弁を食べていた。

私が座っている座席の前の席に若い男性が座った。

そのとなりの席に、男性のカノジョである20代後半くらいの女性が座っていた。

つづいて、私の後ろの座席に20代くらいのカップルさんが座った。

二組のカップルさんは、幸せいっぱい夢いっぱいだった…

それなのに…

なんで私は…

こんなみじめな思いをしなければならないのだ…

サイアクだ…

……………………

私は、のみかけの(清酒)西野金陵を一気にのみほしたあと大きくため息をついた。

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー…)

多度津駅を出発してから40分後であった。

列車は、三豊市の山沿いの地域を走行していた。

この時、雨の降り方が少し強くなった。

駅弁を食べていた私は、途中で食べるのをやめた…

私が座っている席の前と後ろの席にいるカップルさん二組が『挙式披露宴』をどうしようか…などの話をしていた。

私は、曇った表情を浮かべながらつぶやいた。

私には…

愛してくださる女性《ひと》が…

いなくなった…

このままひとりさびしく…

人生を終えるしかないのか…

…………………………

星空の世界にて…

星くずがたくさん流れている川のほとりに桜子たち(80億39人)と深眠の私がいた。

ぐすんぐすんと泣いている桜子たちは、深眠の私の身体にたくさんキスをしていた。

しかし、私はめざめなかった。

みどりを抱っこしているアンナは、星くずの川に入っていた。

アンナは、大声をあげながら泣いていた。

同時に、みどりも『オギャーオギャー!!』と泣いていた。

「ワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーン!!」
「オギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャー!!」

アンナとみどりの泣き声がさらに大きくなった。

下流にたまっていた小さな星くずが空の下に一気に流れ落ちた。

……………………

空の下にて…

「ワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーン!!」
「オギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャー!!」

空の上からアンナとみどりの泣き声が響いた。

(ドサー!!)

同時に、雨の降り方が激しくなった。

(ドザー!!ドザー!!ドザー!!ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…キーッ、プシュー…)

高松駅を出発してから1時間半後であった。

列車が阿波池田駅のプラットホームに入った。

列車は、雨量が規制値を超えたために一時運転見合わせになった。

座席に座っている私は、食べかけの駅弁を食べようとしたが食べるのをやめた。

おいしくない…

おいしくない…

おいしいと思える料理がおいしくない…

私がいる座席の前と後ろの座席に座っているカップルさんは、肩を寄せ合って眠っていた。

駅弁を食べるのをやめた私は、2本目のワンカップ(清酒)のふたをあけたあとひとくちのんだ。

(ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…)

この時、遠くから雷鳴が響いた。

同時に、雨の降り方が激しくなった。

………………………

また星空の世界にて…

川のほとりにいる桜子たちがぐすんぐすんと泣いていた。

「ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…」
「ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…」

みどりを抱っこしているアンナは、さらに大きな声をあげて泣き出した。

同時に、みどりの泣き声も大きくなった。

「ワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーン!!」
「オギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャー!!」

この時、女神さまが困った声で言うた。

「困ったわね…どうしたらいいの?」

最上流の神さまは『わしは分からん!!』と怒った声で言うた。

最上流の神さまは、ものすごく怒った声で言うた。

「アンナ!!いいかげんに泣きやめ!!おまえはそれでもクイーンか!?」

アンナは、さらに大きな声で泣き叫んだ。

「ヤダー!!ヨシタカが死ぬのはヤダー!!ワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーン!!」

この時、下流にたまっていた小さな星くずたちが空の下に一気に流れ落ちた。

………………………

(ドザー!!ドザー!!ドザー!!)

空の下にて…

この時、1時間に50ミリに相当する雷を伴った非常に激しい雨が降っていた。

阿波池田駅にて…

列車の窓に、大量の雨水が流れていた。

座席に座っている私は、涙をこぼしながら泣いていた。

こぼれ落ちた涙が、のみかけの酒にこぼれおちた。

私は、声を震わせながら泣いた。

「うううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう…もうつかれた…もうつかれた…ううううううううううううううううううううううううううう…」

私は、列車が運行を再開したあとも泣きつづけた。

一人で生きていくのはイヤだ…

妻子《かぞく》がいないと…

生きていくことができない…

………………………
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