大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【激流に生きる男】

私は、2月20日から28日までのあいだヒッチハイクした長距離トラックを乗り継いであてのない旅をつづけた。

今、どのあたりにいるのか…

きょうは何日か…

きょうはどんな日か…

今の私には、そんなことを思い出すゆとりはなかった。

……………………

時は、3月1日の朝9時15分頃であった。

またところ変わって、国鉄豊岡駅の正面玄関前にて…

正面玄関前にニッサンアトラスのはこトラック(荷台に箱型のコンテナがついてるトラック)が到着した。

ショルダーバックを持ってトラックから降りた私は、運転手《うんちゃん》に一礼を述べたあと再び旅に出た。

それからまた100分後であった。

またところ変わって、豊岡市下陰《しないしもかげ》にある借家にて…

私は、大家さんと一緒に指定された家に行った。

大家さんは、指定された家に到着したあと入口にかけていたカギをあけた。

大家さんは、戸をあけたあと私に対して『どうぞ。』と声をかけた。

私は、大家さんと一緒に部屋に入った。

またところ変わって、部屋の中にて…

大家さんは、私に対して声をかけた。

「ルツコと言う女は、こちらの部屋で男と一緒に暮らしていました。」
「男とルツコがこちらに引っ越しをしたのはいつ頃ですか?」
「ふたりがこの部屋に引っ越してきたのは、7年前でした。」
「7年前。」
「ええ。」
「いつごろまでこちらで暮らしていたのですか?」
「4年前の1月頃に…ふたりはここを出ました。」
「4年前の1月。」
「ええ。」

…………………………

ルツコは、1976年から1979年までこの借家で男と一緒に暮らしていた。

ふたりは…

どんな目的があって…

豊岡《ここ》に来たのか…

ますます分からなくなった…

…………………………

(カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ…)

時は、夜8時半頃であった。

またところ変わって、豊岡駅のすぐ近くにあるホテルのシングルルームにて…

デスクの上には、カシオの卓上電卓とノートと万年筆と財布が並んで置かれていた。

私は、電卓のキーをたたいて今日1日使った費用の計算をしたあと万年筆を使って合計の金額をノートに記入した。

費用計算を終えた私は、大きなあくびをしたあとぼんやりとした表情で部屋のまわりをみつめながらつぶやいた。

1979年1月…

この時…

ルツコのまわりで…

どんな事件が生じたのか…

あの日…

なにが起こったと言うのか…

………………………
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