大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【傷ついた鳥】

時は、午後2時半頃であった。

またところ変わって、国鉄日田駅のすぐ近くにあるホテルにて…

私は、クリーニングするシーツ類の回収に来ていたリネン工場の運転手《おっちゃん》に対して8月6日またはその前後の日に夜明駅の近辺を通らなかったどうかをたずねた。

運転手《おっちゃん》は、私の問いに対して思案顔で答えた。

「8月6日かその前後の日になにがあったのかな?」
「私、8月6日の朝方に夜明駅の前にパトカーが停まっていたのを見たのだよ!!」
「パトカーが停まっていた?」
「ええ…夜明駅の付近で事故または事件が発生したと思われます。」

運転手《おっちゃん》は、私に対してこう答えた。

「ああ、思い出した〜」
「えっ?」
「あんたが言うた事故または事件は、8月5日の夜遅くに発生したのだよ。」
「8月5日の夜遅くに発生した!?」
「ああ、そうだよ。」

私は、ゼブラシャーボーのシャープペンシルを使ってメモパッドにメモ書きをしながら『8月5日の夜遅くに夜明駅の付近で事故か事件が発生した。』と言うた。

…………………………

それからまた20分後であった。

またところ変わって、日田市役所《しやくしょ》の敷地内にある電話ボックスにて…

私は、四角のだいだい色のコイン投入式のプッシュホンを使って電話をかけていた。

「わかりました…あの、もし思い出したことがございましたらご一報願いますか?…よろしくお願いいたします…お世話になりました。」

(ガチャ…ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ…)

私が左手でフックを下げた時に、返却口に10円玉がたくさん出た。

私は、赤のラッションペンを使ってメモパッドに『確認済み』と記入した。

このあと、私はうきは市と朝倉市にある合わせて8軒のリネン会社に問い合わせの電話をかけた。

……………………………

(ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…キーッ、プシュー…)

時は、夕方4時58分頃であった。

国鉄筑後吉井駅の久留米方面行きのプラットホームに各駅停車《どんこう》が停まった。

列車の扉が開いたあと、ショルダーバックを持った私がプラットホームに降りた。

改札口を通って待合室に入った私は、一度足を止めた。

その後、左腕につけているロレックスの腕時計を見つめながら言うた。

「もう5時だ…」

……………………………

時は、夕方5時55分頃であった。

またところ変わって、吉井町福永にあるリネン工場の敷地にあるトラックのヤードにて…

私は、ヤードの中にいる運転手《おっちゃん》に声をかけたあと話をした。

私は、運転手《おっちゃん》に対して8月5日の夜遅くに夜明駅の付近で発生した事件のことについてたずねた。

運転手《おっちゃん》は、私に対してこう答えた。

「ああ、思い出した〜」
「えっ?」
「たしかその時間は…小石原から会社へ向かっていた時だった。」

私は、ゼブラシャーボーのシャープペンシルを使ってメモパッドにメモ書きをしながら『8月5日、小石原…』と言うたあと運転手《おっちゃん》に声をかけた。

「あの、小石原(福岡県東峰村)のどのあたりに行ってたのですか?」
「たしか、村内にある老健施設《しせつ》へ行ったよ。」
「老健施設《しせつ》。」
「ええ…その日は、洗濯物《シーツ》をたくさん回収したよ。」

私は、ゼブラシャーボーのシャープペンシルを使ってメモパッドにメモ書きをしながら『東峰村内《そんない》にある老健施設《しせつ》に洗濯物《シーツ》を引き取りに行った』と言うたあと運転手《おっちゃん》に声をかけた。

「運転手《おっちゃん》が老健施設《しせつ》から出発したのは何時頃ですか!?」
「たしか、老健施設《しせつ》を出発したのは、夜の8時半だった…と思う。」
「8時半…ちょっと待ってください。」

私は、メモパッドをショルダーバックの中に収納したあとスーパーマップルの九州地方の道路地図を取り出した。

私は、うきは市周辺の道路地図をひらいた。

続いて、ゼブラシャーボーの本体を左へ2度回して赤ボールペンを出した。

その後、私は運転手《おっちゃん》に声をかけた。

「あの…運転手《おっちゃん》は、小石原の老健施設《しせつ》を出発したあと、どのあたりを通ったのか教えていただけますか!?」

運転手《おっちゃん》は、私に対して小石原から会社《ここ》までの道のりをたどった。

この時、運転手《おっちゃん》の右手の人差し指が夜明駅で止まった。

私は、運転手《おっちゃん》に声をかけた。

「夜明駅…夜明駅の付近を通ったのは何時頃でしたか!?」
「9時…半頃だったかな〜」
「9時半…」
「その時、わしはお腹を下したのでトイレ休憩をするために夜明駅に立ち寄ったよ。」

私は、ゼブラシャーボーの赤ボールペンを使って夜明駅のところに『8月5日夜9時半に夜明駅に立ち寄った。』と書き込んだあと運転手《おっちゃん》に声をかけた。

「それで、駅を出発したのは何時頃でしたか!?」
「たしか…夜の10時過ぎだったよ。」
「会社《こちら》に帰られたのは何時頃でしたか!?」
「うーんと…夜の11時過ぎだったよ。」
「夜の11時過ぎに会社《こちら》に到着したのですね。」
「はい…あっそうだ…その、あんたが言うた夜明駅のことで、思い出した話があったよ…たしかあの時…駅の待合室に若い男がひとりでいたところをみたよ。」
「ちょっとお待ちくださいませ!!」

私は、スーパーマップルの九州地方の道路地図をショルダーバックの中に収納した。

ショルダーバックのフタを閉じたあと、私はバックの外ポケットに入っている黒革の写真入りのパスケースを取り出した。

私は、パスケースに入っている写真を運転手《おっちゃん》に見せながら声をかけた。

「運転手《おっちゃん》、運転手《おっちゃん》が夜明駅《えき》で見た若い男と言うのは…この写真に写っている男でしょうか?」

私は、パスケースに入っている重井《しげい》の写真を見せながら運転手《おっちゃん》にたずねた。

運転手《おっちゃん》は、私に対してこう答えた。

「この男じゃ…なかった。」
「えっ?」
「わしが見た男は…30前の…軟弱な表情を浮かべていた男だったよ。」

私は、ゼブラシャーボーのシャープペンシルを使ってメモ書きをしながら不安げな表情で『30前の軟弱な表情を浮かべていた男…』とつぶやいた。

運転手《おっちゃん》は、私に対してこう言うた。

「その…駅の待合室にいた軟弱男は…なんか知らないけどメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソ泣いていたよ。」
「メソメソメソメソ…と泣いていた?」
「ああ…たしか…『ちくしょう!!重井《しげい》のクソバカ!!やよいをどろぼうした重井《しげい》をぶっ殺してやる!!』と叫んでいたよ。」
「なんだって!?」
「あの軟弱男は、別れた女のことを今でも思い続けていたと思うよ。」
「そうですか…それでは、運転手《おっちゃん》は男同士がもめていた現場は見ていないのですね。」
「ああ。」
「そうですか…分かりました。」

結局、運転手《おっちゃん》は重井《しげい》と軟弱男がもめていた現場を見ていなかった…ということで調査を終わらせることにした。

重井《しげい》と会っていたと思われる例の軟弱男は…

一体誰なんだ!?

……………………………
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