大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【白い炎】

時は、2000年7月22日の午前11時頃であった。

またところ変わって、松山市美沢《しないみさわ》にある記念病院にて…

ゆりこは、7月末にガス自殺未遂事件と胎内にいる赤ちゃんをかたいもので殴りつけた事件を犯した末にこの病院にやって来た。

身体《からだ》の傷病は治ったが、精神的なダメージがより大きいので長期間入院することになった。

退院する時期は、未定である。

場所は、入院患者さんたちが利用しているロビーにて…

ベビーピンクのパジャマ姿のゆりこは、さびしげな表情でテレビを見ていた。

テレビの画面には、南海放送テレビで放送されている健康番組が放送されていた。

この時、てつろうがゆりこに会うためにロビーにやって来た。

てつろうは、つらそうな表情でゆりこに声をかけた。

「ゆりこ。」
「てつろうさん。」
「ゆりこ、ここにいたのだ。」
「うん。」
「少しの間、いい?」
「うん。」

ところ変わって、病院の屋上にて…

ゆりことてつろうは、遠くに見える松山市中心部の風景を見ながらお話をしていた。

ゆりこからことのしだいを聞いたてつろうは、おどろいた声で言うた。

「子宮を摘出した?」
「うん。」
「どうして?」
「分からない。」
「はっきりと答えろよ!!」

てつろうに怒られたゆりこは、つらい表情で答えた。

「ゆりこ…シキュウケイツイガンと診断されたので…子宮を取り出した…」

ゆりこは、てつろうに対してウソの答えを言うたあとこう言うた。

「それと同時に…ダンナとリコンした…」
「リコン…なんでリコンしたの?」
「ダンナの母親から…殴るけるの暴力をふるわれた…」
「オシュウトメさんが暴力をふるった?」
「うん。」
「それはほんとうか?」
「ほんとうに暴力をふるわれたのよ!!」
「ゆりこ…」
「あと…大学生の義弟《おとうと》と義弟《おとうと》のサークル仲間の男子学生《おとこ》たちから…ゴーカンの被害を受けた…」
「ゆりこ、それはほんとうか?」
「ほんとうに本当よ…だからダンナとリコンしたのよ。」
「なんでダンナに言わなかったの?」
「ダンナは聞く耳を持たないムカンシン男だから話しをしてもムダよ!!」
「それじゃあ、義父《おとう》さまは?」
「義父《おとう》さまの頭の中は、家庭《いえ》よりも三浦工業《かいしゃ》が大事な人だからムダよ!!」
「ゆりこ。」

ゆりこは、ものすごく悲しい表情でてつろうに言うた。

「ゆりこ…やっぱりダメ…ひとりの男性《おとこ》を最後まで愛することができない女だから…結婚することに向いてなかったのよ…」
「結婚に向いてなかった…じゃなくて…ゆりこが結婚に向こうとしなかったのじゃないのか?」
「どちらも同じよ!!」
「ゆりこ。」

ゆりこは、ムキになった表情でてつろうに言うた。

「そういうてつろうさんはどうなのよ!?」
「どうなのよって?」
「てつろうさんは、ほんとうはだれと結婚したかったのよ!?」
「だれと結婚したかったって?」
「大学にいた時に、好きな女の子はいなかったの!?」

てつろうは、ものすごくいいかげんな声でゆりこに言うた。

「あこがれていた女子大生《おんな》はいたよ…だけど…2つ上の…男子に取られた…」

ゆりこは、ますます怒った声でてつろうに言うた。

「なんで奪い取らなかったのよ!?」
「奪い取らなかった?」
「男は、奪われたものは力づくで奪い返すのフツーよ!!」
「それは、男子学生《だんし》とケンカしろと言うことか?」
「そうよ。」

てつろうは、ものすごく困った声でゆりこに言うた。

「おいゆりこ。」
「なによ!?」
「お前が言うた言葉は…理解できない…お前はなにを考えてものを言うているのだよ…お前が求めている理想の男性《おとこ》はなんだよ!?」
「てつろうさん…」

てつろうは、ものすごく怒った声でゆりこに言うた。

「ゆりこが求めている理想の男性《おとこ》はなんだと聞いているのだよ!!おい!!答えろ!!答えろと言ったら答えろ!!」

ゆりこは、悲しげな表情で答えた。

「だから…力強い人が好きなのよ!!」

てつろうは、怒った表情でゆりこに言うた。

「だから、ゆりこが言うた力強い男のテイギはなんだよ!?…ゆりこは、ケンカをしたらものごとが解決すると思っているのか!?」

ゆりこは、泣きそうな声で『他に方法がないのよ!!』と答えた。

てつろうは、ものすごく怒った声でゆりこに言うた。

「ゆりこは、人と話し合いをすることがそんなにイヤなのか!?」

ゆりこは、ものすごくひねた声で『言わなくても分かるでしょ!!』と言うたあとてつろうにこう言うた。

「ゆりこが小学5年の時だった…ゆりこがいたクラスでもめ事があったのよ…男の子同士によるもめ事よ…Aくんは…となりのクラスにいたかわいい女の子からラブレターを受け取ったの…それをBくんがどろぼうしたのよ!!」
「ようはこう言うことだろ…ケンカして勝った方がカノジョを好きになることができる…と言うことだろ。」
「そうよ…AくんとBくんは…好きな女の子とお付き合いをする権利を得るためには殴り合いの大ゲンカをするしかなかったのよ!!」
「ゆりこ。」
「AくんとBくんは、さいしょは1対1で殴り合いのゲンカをしたわよ…だけど、Bくんが『助けてくれ〜』と言うたので…ガキ大将のCくんと複数の男子がAくんを殴りつけたのよ!!」

ゆりこの話しを聞いたてつろうは、怒った声で言うた。

「やめろ!!それ以上は話をするな!!」
「てつろうさん…」
「お前は、どこのどこまで非情な女だ!?」
「なにひとりで怒ってるのよ?」
「お前がいたガッコーは異常だ!!異常だ異常だ異常だ異常だ異常だ異常だ異常だ異常だ異常だ異常だ異常だ!!」
「てつろうさん…」

てつろうは、ものすごく怒った声でゆりこに言うた。

「オレ、ゆりこと結婚したいと思ったけどやめた!!」
「てつろうさん…」
「おい!!片意地はらずにもう一度戻れよ!!」
「戻れって…ゆりこはどこへ行けばいいのよ!?」
「だから!!蔵本《くらもと》の家へ戻れと言うてるのだよ!!」
「イヤ!!ゆりこイヤ!!」
「わがまま言わずに戻れよ!!蔵本《くらもと》の義父母《りょうしん》に頭を下げてあやまれよ!!…もう一度、ダンナとやり直せ!!」
「イヤと言うたらイヤ!!」
「蔵本《くらもと》の家へ戻れ!!戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れも~~ーーーどーーーーーーーーーれーーーーーーーーーーーー!!」

てつろうは、よりし烈な声でゆりこを怒鳴りつけたあと走って逃げた。

「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」

てつろうに怒鳴られたゆりこは、その場に座り込んだあとくすんくすんと泣き出した。

ひどい…

ひどい…

てつろうさんなんか…

だーーーーーーーいきらーーーーーい!!

それから180分後であった。

ところ変わって、ゆりこが入院していた部屋にて…

この時、看護婦さんが部屋に入った。

「鳥居ゆりこさま〜…鳥居ゆりこさま〜…あれ?」

ゆりこは、部屋にいなかった。

看護婦さんは、ものすごく困った声で言うた。

「あれ、鳥居ゆりこさん…たいへん!!」

看護婦さんは、部屋から出たあと大急ぎでナースセンターヘ向かった。

さて、その頃であった。

ゆりこは、病院の裏口から脱走したあと松山市内《ちゅうしんぶ》ヘ向かって歩いた。

このあと、ゆりこはどこへ行くのだろうか?
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