大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【難破船・その4】

時は、12月5日の正午過ぎであった。

またところ変わって、鹿児島市武岡の住宅地にある家にて…

家は、健太の親子3人が暮らしている家であった。

家の玄関の前に高齢の男性がいた。

玄関の前にいる高齢の男性は、ドアを叩きながら家の中にいる住人を呼んでいた。

(ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!)

「坪井《つぼい》さん!!坪井《つぼい》さん!!あけてください!!」

そこへ、ショルダーバックを持って旅を続けていた私が家の前を通りかかった。

私は、玄関の前にいる高齢の男性に声をかけた。

「すみません…すみません!!」
「はい。」
「坪井《つぼい》さんのおたくにどんなご用でお越しになりましたか?」
「カネのサイソクに来たのだよ!!」
「カネのサイソク!?」
「そうだよ!!」

私は、高齢の男性に対して声をかけた。

「あのすみません…ここではなんですから…場所を変えてお話をしましょう。」
「ああ、いいよ。」

……………………………

またところ変わって、住宅地の中にある公園にて…

高齢の男性は、ベンチに腰かけていた。

私は、立っていた。

高齢の男性は、私に対してわけを話した。

「私は、坪井《つぼい》の安浩《バカムコ》にカネを貸しました!!」
「坪井《つぼい》のムコはんにカネを貸した?」
「はい。」

私は、ゼブラシャーボーのシャープペンシルを使ってメモパッドにメモ書きをしたあと余白のページをひらいた。

その後、私は高齢の男性に声をかけた。

「え~と…おたくは坪井《つぼい》のムコはんとどう言うご関係がありますか?」
「昔からの知人ですよ…私は、坪井《つぼい》の亡義父《シュジン》の元戦友であった関係があります。」
「坪井《つぼい》の娘さんのお父さまの元戦友さんでしたね。」
「はい…戦時中に南方で一緒に闘った仲です。」
「分かりました。」

私は、ゼブラシャーボーのシャープペンシルを使ってメモパッドにメモ書きをしたあと余白のページをめくった。

その後、私は高齢の男性に声をかけた。

「話を変えますが、坪井《つぼい》のムコはんにお金を貸したことについておたずねします…坪井《つぼい》のムコはんはあなたからいくら借り入れたのですか?」
「いくらって…5000万ですよ5000万!!」
「5000万!?」
「ええ。」
「あの、坪井《つぼい》のムコはんは、5000万を現金で受け取ったのですか?…それとも、約束手形《てがた》で受け取ったのですか?」
「約束手形《てがた》で渡しました。」
「(メモ書きをしながら言う)約束手形《てがた》で渡した…(カキカキ…)…約束手形を振り出す形で5000万を貸しましたが…あなたは、坪井《つぼい》のムコはんに渡した約束手形《てがた》をまだいただいていないのですね。」
「ああ、そうだよ。」
「(メモ書きをしながら言う)約束手形《てがた》をまだ受け取ってない…(カキカキ…)…」

高齢の男性は、私に対してこう言うた。

「決済の期日は、今月の28日の午後3時までです!!」
「今月の28日!?」
「はい。」
「…ってことは、期日までに坪井《つぼい》のムコはんが手形の決済しなかった場合には…あなたが振り出した約束手形《てがた》が不渡りになる…」
「…と言うことだよ!!」
「えらいこっちゃ~…」

私は、ゼブラシャーボーのシャープペンシルを使ってメモパッドにメモ書きをしたあと余白のページをめくった。

その後、私は高齢の男性に対して声をかけた。

「あのすみません。」
「なんだ!!」
「あなたが振り出した5000万の約束手形《てがた》についておたずねしますが…その5000万は、会社のお金ですか!?」

高齢の男性は、ものすごく怒った声で言うた。

「5000万は会社のお金だよ!!…取引先の会社から受け取った預かり保証金だよ!!」
「預かり保証金!?」
「ああ!!」
「そんなだいじな大金《カネ》をなんで坪井《つぼい》のムコはんに貸したのですか!?」
「坪井《つぼい》の安浩《バカムコ》が5000万がないとクリニックがつぶれてしまう…と言うたから貸した!!」
「クリニックがつぶれてしまう…それはほんとうのことですか!?」
「ほんとうかどうか分からないけど、安浩《バカムコ》がビービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービー…と泣いていたので、かわいそうになったから5000万を貸しました!!」
「かわいそうになったから貸した?」
「はい。」
「あのすみません。」
「なんだよ!!」
「あなたが取引先の会社から受け取った預かり保証金を返す時期はいつ頃ですか?」
「来年の1月末日だよ!!」
「来年の1月末日までに預かり保証金を取引先の会社に返さないと大ゴトになる…」
「…と言うことで、わしはすごく困ってるのだよ!!」

ことの次第を聞いた私は、真っ青な表情で『えらいこっちゃ~』とつぶやいた。

……………………………

それからまた1時間後であった。

高齢の男性と別れた私は、公園から出ようとした。

この時であった。

(ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!)

公園内に設置されていた電話ボックスに来た時に、四角の水色のコイン投入式のプッシュホンからけたたましいベルが鳴り響いたのを聞いた。

私は、周りの様子を確認したあと電話ボックスに入った。

私は、受話器を取ったあと話した。

「はいコリントイワマツヨシタカグラマシー!!…ほたるさん…今、鹿児島市内にいる…もしもし…熊代さんの奥さまと宇城田《うきた》のおかみさんが…佐多岬で入水した!?」

……………………………

(パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタ…ドドーン!!)

それからまた4時間後であった。

またところ変わって、大隅半島の先端にある佐多岬《さたみさき》にて…

事件現場に、鹿児島県警《けんけい》の捜査員たち200人がいた。

鹿児島県警《けんけい》のヘリコプターが岬の上空を旋回していた。

崖下にある海は大荒れになっていた。

捜査員たちは、入水した熊代さんの奥さまと宇城田《うきた》のおかみさんを捜索していた。

しかし、ふたりの遺体はまだ発見されていなかった。

そんな中でショルダーバックを持って旅を続けていた私が警察官と一緒に現場に到着した。

私は、ビニール袋に入っている書面を受け取った。

受け取った書面は、熊代さんの奥さまが書き遺した遺書であった。

遺書には、文子から受けたいじめに関することがたくさんつづられていた。

熊代さんの奥さま…

宇城田《おかみ》さん…

どうして…

どうして入水したのですか…

どうして…

…………………………
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