色とりどりな君の花

 なんかすみませんね……でも、圭佑のせいじゃん!あー、早く力入れー!

なんとなく圭佑に向き合うのが恥ずかしくて、映画を見ようとスクリーンに目を向けた。

…意味なかった。キス以上のことまでしちゃってるんですけど?

流石にやってるところの明確なシーンはないけど、その分、声がやばい。

今、私の顔が赤くなってるのが自分でもわかった。や、やだなぁ…恥ずかしい。

「咲希、こっち向いて?」

私の彼氏はずるい。彼の言ったことに、ついつい従ってしまう。くぅ、こんなときに限って!

「ん…ふぅ、……っはぁはぁ」

「もう少し口開けて?」

キスがさらに深くなる。甘く痺れる感覚に、底なし沼のように私は囚われてしまった。

抵抗することもできるはずなのに、私はそれをできないでいる。

「んぁ、はぁ…も、もうダメ…」

「あーもう、すっかり涙目になちゃって…可愛い」

そう言った彼は、今度は鎖骨あたりにキスを落とした。……こんなに甘い圭佑、見たことない。

そのまま胸元にもキスを落とされた。

「…ぁう、ふ……」

「よしよし、お疲れ様。もう良いよ?」

なんだその上から目線。そういうのが悔しいんだってば…

「…ずるい。……恥ずかしかった」

「うん。可愛かった」

……今の彼には話は通じないようだ。

「「ねぇ、」」

映画と圭佑の声が重なった。

「「これからも、俺の側に居てくれる?」」

なんとなく察した私は口を開く。少し恥ずかしいけど、ここは我慢だ。

「「うん。もちろん」」


その言葉を合図に、私は画面の人と同じタイミングで圭佑から花束を貰った。

私に向けられたその花束は、まるで、あの時の花火みたいにカラフルだった。

「「一緒に、幸せになろう!」」
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